放射能被害 腐葉土業者が出荷自粛で大打撃=群馬・高崎
群馬・高崎民主商工会(民商)は8月22日、他社製品の腐葉土から放射性セシウムが検出されたため、出荷できなくなっている業者の損害賠償を求め、東京電力と交渉しました。
交渉には腐葉土を製造・販売する市内在住のIさんら5人が参加しました。
腐葉土から放射性セシウムが検出されたのは7月26日。隣接する栃木県の業者からでしたが同日、農水省は腐葉土の製造・流通の自粛を全都道府県に通知。Iさんたちにも、県庁の出先機関を通じて電話で自粛要請がありました。
この要請を受け、ホームセンターなどは、翌日から店頭からすべての製品を撤去。その後、自粛要請はいったん解除されたものの、農水省はセシウムの基準を400ベクレルと定め、8月8日に再度自粛要請を出し、現在も製品を出荷できない状態です。
Iさんらはこうした状況を説明し、自粛による被害を東電として賠償するよう要求しました。応対した東電の福島原子力補償相談室群馬補償相談センターの部長らは、放射能被害について「申し訳ありません」と謝罪。しかし、損害賠償については「政府中間指針に明示されたものについては、補償作業を進めているが、腐葉土は指針に含まれていないので何ともいえない」などと回答しました。
Iさんは「私たちには、まったく手落ちがない。東電は被害の全額を賠償すべき」、「取引先から製品の引き上げを求められている。その運賃などの費用も負担してほしい」と求めました。
東電側は「東電の責任なので補償する」としながらも「(具体的な)補償内容はまだ分からない。被害申出書を提出してほしい。後日連絡する」と答えるにとどまりました。
交渉を終えたIさんは「今まで不安だった疑問点を直接聞くことができた。民商はいろいろ相談できるので会員でよかった」と語りました。
民商は、原発被害の相談活動とともに、東電に対する損害賠償運動を強めていくことにしています。
全国商工新聞(2011年9月19日付)
|