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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第2984号 7月25日付
 
 

被災会員をペンションに招待=長野・諏訪地方


 「被災者にゆっくり休んでもらいたい」―。そんな思いから長野・諏訪地方民主商工会(民商)原村支部ペンション班が、6月13日から3泊4日の日程で被災した宮城・石巻民商の会員16人を招待しました。バスで被災者を迎えに行き、滞在中は観光地や温泉、美術館などを案内。交流会を開いて被災者を励ましました。震災後、初めてのんびりと過ごした被災者に笑顔がこぼれました。

私たちの痛みを分かってくれた
 「みんなが私たちの痛みを自分のことのように感じてくれて、広い心で受け入れてくれた。知り合いの家を借りてようやく事業を再開したが、復興に向けてこれからが大変。でも、原村に来て、よし頑張ろうと前向きな気持ちになれた」。大津波で自宅や工場、道具のすべてを流された石巻民商の会員=電気工事=は原村を訪れ、復興への決意を新たにしました。被災者に寄り添って行動するペンションのオーナーたちに励まされ、民商の仲間の温かさを実感しました。
 ペンション班9軒のうち4軒が被災者を受け入れました。「ガイドをやったり、バスの運転をやったり、みんなで力を合わせた。困難を乗り越えようとする被災者の話を聞いて私たちも励まされ、仲間の絆を感じた」と話します。

せき切るよう話が始まって
 原村支部では、募金や物資を届けながら被災者を迎えに行くことを役員会で確認。6月12日朝、マイクロバス1台と乗用車1台に役員7人が乗り込み、石巻民商に向かいました。バスには大工道具、衣類、日用品、米、食品、洗濯機、自転車など、ダンボール30個以上を積み込みました。
 10時間後、石巻民商に到着し、翌13日朝、希望者16人を乗せて一路原村へ。「話を聞いてほしい」とせきを切ったようにみんなが話し始めました。
 「家・店舗が一瞬で流された。これからの人生、マイナスからのスタート」「命が助かっただけでもありがたいと思っていたが、今はとてもつらい」「土地が地盤沈下し、利用制限のためこれから7年間、家を建てられない」「窓越しに流されていく人の"助けてくれ"の声、どうすることもできなかった」「自宅、事務所、工場、車5台が流失。夫はそのショックでうつ病になるのではないかと心配」など、どれも身につまされる内容でした。

 原村に到着した被災者はペンションに宿泊し、14日は村のバスで霧ケ峰や白樺湖を観光。15日は原村のキリスト教会に招待されました。賛美歌が流れ、牧師が「よくいらっしゃいました。大変でしたね」「泣きたい時は泣いてもいいのですよ」とやさしく語りかけました。
 その言葉に「震災後、初めて涙を流した」と話す会員=鉄工は、自宅は残ったものの、1階は水につかり、毎日ヘドロをかき出していました。「泣きたくても泣けず、笑いたくても笑えず、被災地から離れたかった。これほど人の優しさを感じたことはない。ここに来て本当に良かった」と話していました。教会からは多額の募金が寄せられました。
 夜は八ケ岳自然文化園のレストランで食事をしながら交流し、楽しい時間を過ごしました。

被災者のために何かしたかった
 原村支部が被災者の受け入れを決めたのは、3月の支部役員会とペンション班の班会でした。「何かできることはないか」と意見を出し合う中で「やっぱりペンションで、もてなすことだよね」と意見がまとまりました。「でも、こんな遠くまで来てくれるか」と不安の声もありましたが、声をかけてみると希望者がいることが分かりました。

宿泊費用は村が全額負担
 宿泊費は個々のペンションが負担することにしていましたが、思い切って清水澄村長に相談したところ、村が全額負担してくれることになりました。

全国商工新聞(2011年7月25日付)
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