東日本大震災 融資改善・返済緩和を要求=兵庫県連
東日本大震災の影響が全国に広がる中、兵庫県商工団体連合会(県連)は5月13日、兵庫県と神戸市に「緊急要望書」を提出しました。6月1日には県地域金融室と懇談し、実態調査(4月1日〜30日)の結果(別項)を示しながら、債務免除や凍結などの支援策を求めました。
思い切った施策を求め県地域金融室に申し入れる県連の代表(右から県連の土谷副会長、兵庫民商の村上会長)
「緊急要望書」では(1)融資を早く実行するように保証協会や金融機関を指導すること(2)融資返済の条件変更で生じた保証料の補助(3)阪神大震災時の「緊急災害復旧資金」の返済凍結-を求めました。
地域金融室への申し入れには、県連の土谷洋男副会長や兵庫民主商工会(民商)の村上健次会長らが参加し、「融資は中小業者にとって血液と同じ。震災の間接的な影響を受けて資金繰りが苦しくなっているときこそ融資を受けなければ後が続かない。思い切った施策を打ち出してほしい」と訴えました。
応対した同室の安部斉室長は「全面的な返済凍結は難しいが、一定の配慮が必要。『緊急災害復旧資金』は2012年の返済期限を3年間延長した。融資がスピーディーに実行されるように保証協会と定期的に話し合っている。要望は協会にも伝える」と答えました。
参加者は「阪神大震災のとき、被災者は債務を背負い、16年たっても返済に苦しんでいる。東北の被災者に同じ思いをさせたくないと思っている。返済凍結を打ち出せば東北の被災者も励まされる」と訴えました。
さらに条件変更をしたときの保証料について「負担が重くて条件変更ができない。県として補助してほしい」と要望しました。
建設業は深刻―資金問題が課題
実態調査は125人から回答が寄せられました。「震災の影響がある」と答えたのは47%に上り、「今後影響がある」19.1%を合わせると6割を超えます。具体的な影響では「部品や資材の調達が困難」33%、次いで「物流停滞による仕入れの遅れ」31.5%、「物資やエネルギー不足の影響」(コスト増)13.5%になっています。東北地方の生産停止や物流停滞など影響で資材などが品薄となり、調達が困難になっています。
とりわけ影響を受けている建設業では「影響がある」61.9%、「今後影響がある」19%を合わせると8割を超えています。資材が確保できず、工事が中断・遅滞となり、売り上げが減少し、資金繰りを心配する声も上がっています。
兵庫県中小商工業研究所(兵庫県連付属)は1日、シンポジウムを開き、実態調査の結果を報告しました。
近藤義晴所長(神戸市外国語大学名誉教授)は今後の対策について「資金問題が喫緊の課題。自治体によるつなぎ資金、運転資金への支援が欠かせない。制度融資の充実が緊急に求められている」と話しています。
全国商工新聞(2011年6月20日付)
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