確定申告のワンポイントアドバイス(1)
早めに準備を始めよう

全国商工新聞 第3387号2019年11月25日付

 私たちは自分の税金を自分で決定して、納税します。これは私たちに認められた申告納税という基本的な権利です。確定申告とはこの権利の上に立ち、1年間の所得金額や税額を確定させるものです。
 初めに難しい話をしましたが、確定申告は住民税や国民健康保険料・税を決定する重要な作業でもあります。申告期限の間際に焦って取り組むと、思わぬ税金を納めることとなってしまうこともありますから、今から少しずつ準備することがとても大切です。
 2020年の個人の確定申告は、2月17日から3月16日の間に行います。住宅借入金控除や医療費控除などの簡単な還付申告などは、年明けすぐに申告することができます。
 確定申告をしなくてはならない人は、(1)個人で商売の売り上げがある人や不動産収入がある人(2)主に給料や年金などの収入があって、医療費控除などによって還付を受ける人、不動産を売った人あるいは自宅を購入し住宅借入金控除を初めて受ける人-などが行います。
 まず、(1)のいわゆる事業を営んでいる人ですが、確定申告の計算を通じて、自分の事業所得金額(会社でいう利益のこと)や所得税額を計算することになります(図表を参照)。(2)の給料や年金収入がある人は、既に「源泉徴収制度」により所得税は前払いしています。給料や年金以外の収入があれば追加で納税することになりますが、多くは還付申告をするのだと思います。

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 図表の所得税の計算方法を見てください。例えば、所得計算でいう経費とは、事業所得や不動産所得では仕入れや水道光熱費などをいい、事業に直接関係のある支出のことを指します。何種類もの所得があるときは、所得区分ごとに計算した全ての所得を合算します。これを「(3)合計所得金額」といいます。「(4)所得控除」とは基礎控除や配偶者控除、医療費控除などのことで、合計所得金額から控除します。所得控除は全ての納税者に関係します。「税額控除」とは、(6)住宅借入金控除や、(7)政党等寄附金控除などのことをいい、「(5)課税総所得」に対する税額計算を行って計算した所得税額から控除されるものです。
 このように何段階もの計算手順を踏んで、納付する(還付される)所得税額を確定させることになります。
 所得税の申告では、復興特別所得税も計算して納付しなければなりません。記載漏れの多い事項ですので注意してください。
 また、「確定申告書に個人番号を記載しないとダメでしょうか?」という質問をよくされるのですが、国税庁は、「個人番号の記載がなくとも有効な確定申告書として扱う」ことを明言しています。

(税理士・佐伯和雅)

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