確定申告のワンポイントアドバイス
(7)配偶者控除と配偶者特別控除

全国商工新聞 第3346号2019年1月28日付

基準が細分化・段階化

 前回から引き続き「所得控除」の話になりますが、今回は2018(平成30)年に大きな改正があった「配偶者控除」と「配偶者特別控除」について取り上げます。それぞれ2017(平成29)年とどのように変わったかを中心に解説します。

○配偶者控除
 17年までは、納税者の配偶者の給与収入が103万円(所得金額38万円)以下であれば、納税者本人の所得金額に制限なく配偶者控除を受けることができました。ところが18年からは、納税者本人の所得金額に制限が設けられ、納税者本人の所得金額が900万円(給与収入1120万円)を超えると、そこから配偶者控除の金額が段階的に低くなり、所得金額が1000万円(給与収入1220万円)を超えると配偶者控除そのものを受けることができなくなりました。
 表は、改正後の納税者本人の所得金額(給与収入)と、それに対応する配偶者控除額です。18年からは配偶者の収入(所得)だけでなく、夫婦それぞれの収入(所得)で判断するという方法になりましたのでご注意ください。

○配偶者特別控除
 配偶者特別控除とは、配偶者の給与収入が103万円(所得金額38万円)を超えてしまい、前述の配偶者控除を受けることができなくなったとしても、一定の収入金額(所得金額)までは段階的に所得控除を受けることができるという制度です。

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 変わったポイントとして2点説明します。
 1点目は、配偶者の給与収入の範囲が拡充されたことです。17年までは配偶者の給与収入が103万円(所得金額38万円)超から141万円(所得金額76万円)未満が対象でしたが、18年は配偶者の給与収入が103万円(所得金額38万円)超から201万6000円未満(所得金額123万円以下)に範囲が拡充しました。
 2点目は、配偶者特別控除の金額についてです。配偶者特別控除の金額は最大38万円で、配偶者の給与収入が高くなるにつれて段階的に逓減されていく仕組みになっています。17年までは配偶者の給与収入が105万円未満までが最大38万円の配偶者特別控除でしたが、18年は配偶者の給与収入が150万円まで最大38万円の配偶者特別控除を受けることができるようになりました。
 ただ気を付けていただきたいのは、前述の配偶者控除と同様に納税者本人の収入(所得)に制限が設けられ、納税者本人の収入(所得)に応じて配偶者特別控除の金額が決められていることです。実際の計算にあたっては非常に分かりづらくなったといえます。全商連作製「自主計算パンフレット」の35ページに表が掲載されていますので参考にしてください。
 最後に配偶者控除、配偶者特別控除の両方に共通することですが、配偶者が納税者本人から給与を受けている青色事業専従者等である場合には、これらの控除を受けることができませんので注意してください。

(税理士・中出良)

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