確定申告のワンポイントアドバイス
(2)青色申告とは

全国商工新聞 第3341号2018年12月17日付

65万円の特別控除などの特典あり

 確定申告は、青色申告と白色申告の二つの申告方法があります。白色申告が原則的な申告方法ですが、記帳をさせようとする目的で青色申告という制度が導入されたことで二つの申告方法が存在しています。
 この青色申告の導入目的から、青色申告で確定申告をすることができるのは、個人で商売をしている人や不動産の賃貸収入がある人などが対象で、青色申告と白色申告のどちらかを選択して申告することができます。
 青色申告で確定申告をした人に対してはその見返りとして白色申告にはない特典が用意されています。表1を見てください。特に大きなものとして65万円の特別控除があります。ただし、65万円の特別控除を受けるためには期限内申告が条件であり、期限後申告になりますと特別控除が10万円になってしまいますので注意してください。それと家族に支払う給与が必要経費にできることも大きいといえます。ただし、その給与を必要経費にしようとする場合は税務署に届出書を提出しなければなりませんので、注意が必要です。しかし、そもそも青色申告でなければ家族に支払う給与が経費として認められないというのはおかしな話です。

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 次に青色申告の特典を受けるための要件について説明します。要件は二つあります。
 一つ目は特典を受けようとする年の3月15日までに、青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります(※)。年の途中で青色申告を選択することはできません。
 二つ目は帳簿を備え付けて記録し保存することです。2014年1月以降、白色申告でも帳簿の備え付けが義務付けられました。「白色は簡単な記帳でよくて、青色申告は簿記で習う複式簿記でないとダメだから」という声を聞いたりしますが、そんなことはありません。所得税法などでも「複式簿記」という言葉は出てきません。確定申告で提出する書類の違いはありますが、事業に関する取引を記載した現金出納帳や売掛帳などがあれば大丈夫です(表2)。

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 帳簿については消費税申告にも関係しますので少し掘り下げて述べます。
 消費税は、売上高にかかる8%の消費税から仕入れなどにかかる8%の消費税を控除(マイナス)して申告します。仕入れなどにかかる8%分を控除するための要件として、請求書等の保存だけでなく、帳簿に日付・相手先・金額のほかに仕入れの内容などの記載も必要とされていて少々面倒です。この手間を減らすために、売上高に一定の割合を乗じて税額を決める簡易課税という制度があります。
 2年前の売上高が5000万円以下であれば使うことができ、請求書等の保存や帳簿の記載要件がありません。簡易課税制度は申告も簡単で節税効果も高いといわれていますので、一度検討してみるのもよいでしょう。
(税理士・中出良)
(※)承認を受けて定められた帳簿を作成することが要件です。

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