確定申告のワンポイントアドバイス
(1)確定申告とは

全国商工新聞 第3340号12月10日付

納税者が税額を「確定」し「申告」する

 私たちは、申告納税方式によって、納税額や所得金額を確定させています。これは、わが国の税金計算の基本原則です。確定申告による申告や納税は、国民の権利です。しっかりと権利を主張し、1年間の所得金額や税額を確定させましょう。
 個人の確定申告は、毎年2月16日から3月15日の間に行います。住宅借入金控除などの単純な還付申告などについては、年明けすぐに提出できるものもあります。
 確定申告が必要な人は、(1)個人で商売や不動産収入がある人(2)主に給料や年金などの収入があって、医療費控除などによって還付を受ける人、不動産を売った人あるいは自宅を購入し、住宅借入金控除を初めて受ける人-です。確定申告をすることで、納税をする人と還付をする人がいるわけですが、本連載ではこの両者の立場について幅広く取り上げたいと思っています。
 まず、(1)のいわゆる事業を営んでいる人は、確定申告の計算を通じて、自分の所得金額(会社でいう利益のこと・事業所得)や所得税額を計算することになります(図表を参照)。

Image


 (2)の給料や年金収入がある人は、すでに「源泉徴収制度」により所得税は前払いされていますから、給料や年金以外の収入があれば追加で納税することになりますが、給与や年金所得のみの方のほとんどが還付申告となります。
 ただし、源泉徴収などであらかじめ納めている税金以上の還付は受けられませんので注意してください。
 図表の所得税の計算方法を見てください。例えば、所得計算でいう経費とは、事業所得や不動産所得では仕入れや水道光熱費などをいい、事業に直接関係のある支出のことを指します。何種類もの所得があるときは、個々に計算した全ての所得を合算します。これを「(3)合計所得金額」といいます。
 「(4)所得控除」とは基礎控除や配偶者控除、医療費控除などのことで、合計所得金額から控除します。
 所得控除は全ての納税者に関係します。政府は所得控除の縮小を長期的な視点で企てており、すでに給与所得控除や配偶者控除の一部は縮小され始めています。
 「税額控除」とは、(6)住宅借入金控除や、(7)政党等寄付金控除などのことをいい、「(5)課税総所得」に対する税額計算を行って計算した所得税額から控除されるものです。
 このように何段階もの計算手順を踏んで、納税者の納付する(還付される)所得税額を確定させることになります。
 所得税の申告に合わせて、復興特別所得税も納付しなければなりません。記載漏れが多い事項ですので注意してください。
 また、確定申告書への個人番号の記載ですが、国税庁は以前より、個人番号の記載がなくとも有効な確定申告書として扱うことを明言していることを付記しておきます。
(税理士・佐伯和雅)

ページの先頭