全国商工新聞 第3392号2020年1月6日付
税務調査を受けて「追徴金約3400万円のうち1500万円を払わなければ、売掛金を差し押さえる」と言われていたMさん=鉄工=は11月25日、名古屋南民主商工会(民商)に入会。仲間とともに名古屋国税局と交渉し、差し押さえを回避させました。12月9日には大高支部の激励会に参加。Mさんは「国税局と交渉してから差し押さえがなくなった。皆さんのおかげです。民商に入って本当に良かった」と妻と一緒に感謝の気持ちを伝えました。
熱田税務署の署員がMさん宅を訪ねてきたのは7月25日。初めてのことで気が動転したMさんは、署員に言われるまま調査に応じ、3年間の資料を持って行かれました。さらに「書類に不備がある」と追加書類が求められ、調査は7年遡及され、所得税と消費税、過少申告加算税、重加算税を合わせて3400万円が追徴に。1年間の売り上げに匹敵する金額にがく然としましたが、9月2日、しかたなく「質問応答記録書」や修正申告に応じました。
しかし、一括で払える余裕はなく、11月13日、自宅を訪ねてきた名古屋国税局の職員3人に実情を話して納付相談をしましたが、「追徴金の半分を払わなければ相談に応じられない。払えなければ売掛金を差し押さえる」と言われました。「外注への支払いができなくなり、仕事がもらえない」と訴えても「そんなことは知らない。お金をつくって、とにかく、払いなさい」と全く聞く耳を持ちませんでした。
Mさんはインターネットで相談先を探して名古屋南民商のホームぺージにたどり着き、11月15日、事務所を訪ねて相談。18日には対策会議が開かれ、みんなで納税者の権利と税務調査の心得を学び、19日に名古屋国税局と交渉しました。Mさん夫妻をはじめ板平勇会長や三浦孝明副会長、平岡充典事務局長、澤田順子事務局員が参加。
交渉では(1)納税者の納付能力や財産状況を調査し、実情に耳を傾けること(2)税務署長の職権による「換価の猶予」を適用させること(3)事業継続に致命的な打撃を与え、継続納付を困難にさせる売掛金の差し押さえをしないこと-を強く要望。Mさんに恐怖を与えた署員は担当から外れ、統括官が納付相談に応じました。国税局交渉後の12月5日、職員が訪ね、「差し押さえはしないので、当面6カ月間払える金額で分納してください」と言われ、胸をなでおろしたMさん。税務調査のたたかいは続きますが、「民商の仲間と一緒に必ず乗り越える」と新年を迎えて決意を新たにしています。