全国商工新聞 第3379号2019年9月30日付
仲間とともに不当な税務調査に抗議し、納税者の権利を主張してたたかった広島・福山民主商工会(民商)のIさん=飲食=は6月26日、税務署が申告に誤りはなかったことを認める「是認」を勝ち取りました。税務署の行き過ぎた不当調査に「諦めてはいけないと思い、はっきりと権利を主張できた。やっと調査も終わった」とほっとしています。
Iさんの営む老舗大衆食堂に2人の税務署員が来たのは2018年5月21日。客がいる前で、いきなり「税務調査をする」と宣言しました。今まで何度か税務調査を受けたことがあるIさんでしたが、いきなりやってきたのは初めて。休憩時間まで事務所で待たせ、税理士と一緒に対応しました。
調査ではレジと金庫の現金を確認し、署員が「この番号の1万札はあるか」と聞いてきました。そこで、前日に客を装って来店していたことに気付いたIさん。会計時にレジ打ちを覗くように見ていたのが印象に残っていました。テレビで見たような調査のやり方に「まるで犯罪者扱いじゃないか」と怒りがこみ上げました。
2回目の調査(24日)では、署員から生活費で払ったレシートを見せられ「これは何ですか?」との質問が。Iさんがいない間に引き出しを開けて調べ、税理士も承諾していました。「このまま進んだら、とんでもないことになる」と不安に思ったIさんは民商へ相談し、入会しました。
民商で納税者の権利や調査の対応を学んだIさんは、税務署だから何でもできるわけではないことが分かり、はっきりと主張できるようになりました。
2019年6月、税務署から「調査は終わります」と連絡が入り、26日には「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書(是認通知)」が届き、1年続いた税務調査が終わりました。
「これからも100年以上続くこの店を残し、おいしいものを作っていきたい」と笑顔を見せるIさん。「税務署員がいきなり来たり、仕事中で忙しい時は、はっきり『今はダメなので日時を変更してほしい』と言うこと。資料も言われるがままに見せるのではなく、しっかり見直し、きちんと説明できるようになってから見せればいい」と実感しています。これから調査を受ける人に、「商売以外のモノは調査に関係ないので絶対に見せない。毅然と主張することが大切、と教えてあげたい。今度は自分が応援したい」と話しています。