自主記帳を力に権利主張
税務調査で「是認」

全国商工新聞 第3372号2019年8月5日付

 税務調査を受けていた岩手・胆江民主商工会(民商)の加藤一子さん(仮名)=飲食=は7月2日、本人の申告に誤りがないことを認める「是認」を勝ち取りました。「自らの主張をはっきりと伝えたことと、自主記帳が力になった」と語っています。
 水沢税務署から調査の連絡が入ったのは4月15日。民商では17日に対策会議を開き、「税務調査の10の心得」を学習しました。税務調査の傾向や同業者の状況などを出し合い、「今回の調査は売り上げが1000万円を少し下回る免税業者を狙い撃ちにした可能性がある」ことを共有しました。
 加藤さんへの調査対象は2016年から18年までの3年間。帳簿や資料をチェックしたところ、古い領収書や伝票が一部紛失していましたが、加藤さんは「月ごとに作成している勘定科目ごとの日計表に基づいて数字を示し、自分の主張をしっかりと伝える」ことを確認して調査に挑みました。
 第1回の調査(4月25日)は民商役員ら3人が立ち会い、調査官は「税理士資格のない第三者の立ち会いは守秘義務違反に抵触する恐れがあるため、退席してほしい」と主張しましたが、「納税者が立ち会いを認めているので、守秘義務違反には当たらない」と抗議。その上で、加藤さんの意向を尊重し、立ち会い抜きで調査に。実地調査は2回で終了し、その後は電話でのやり取りでした。交際費をめぐって「実際は相手からごちそうになっているのでは」と税務署の間違った認識に対しても毅然と対応しました。
 税務署は仕入れを基にして業者比率で売り上げを推計しましたが、実際の売り上げと誤差が少なかったことから6月27日、調査官から電話で「今回は指導のみで税額修正なしで終了します」との説明があり、後日、「更正決定等をすべきと認められない旨の通知書」を送ることが伝えられました。

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