土地取引に伴う所得税
換価の猶予 認めさせる

全国商工新聞 第3372号2019年8月5日付

申請受け付け拒否に抗議

申請を受け付けようとしなかった新潟県の新津税務署に抗議していた新津民主商工会(民商)の伊藤和夫さん(仮名)=不動産=は6月10日、申請を受理させ、換価の猶予を認めさせました。総務課長は「伊藤さんが精神的な負担となるような気持ちにさせたことにおわびします」と謝罪しました。

総務課長と統括国税徴収官が謝罪

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新津民商が開いた換価の猶予の学習会

 伊藤さんは昨年秋に土地を売却。その所得を非課税だと思い込んでいました。民商の事務局員に話すと「譲渡所得の申告が必要」と言われ、5月20日、新津税務署に行ったところ、所得税64万2200円が課税されることが分かりました。「分納したい」と話すと、換価の猶予の申請書が手渡され、5月29日に申請書を提出。ところが徴収担当職員は「収入で得た金はどこに使ったのか。通帳を見せて。年金を担保にして借り入れして納めてほしい」と言い放ちました。
 伊藤さんは生活状況を話し、「非課税だと思っていたので、収入は借入金の返済などに使った。高齢なので借り入れはしたくない。年金を担保にすると生活していけない、税金を何とかして納めたいので、換価の猶予を認めてほしい」と訴えましたが、職員は「資産を売却したら」と言って申請を受理しませんでした。
 伊藤さんは6月4日、民商役員らと一緒に税務署に出向き、「後ろに数人の市民が待っている受付窓口横のテーブルで、借り入れをしろ、資産を売れと言われ、とても恥ずかしい思いをした」と抗議。役員は「100万円以下の換価の猶予の申請は無担保のはず。職員は制度を使えないようにしているのか」と追及しました。
 その上で、伊藤さんは「換価の猶予を認めてほしい。徴収担当の職員も変えてほしい」と要望。総務課長と統括国税徴収官は謝罪した上で「担当職員を変えます。あらためて換価の猶予の申請してください」と話し、6月10日付で換価の猶予が承認され、1年間の分納が認められました。

換価の猶予

 国税や地方税を納付することで、事業の継続または生活の維持を困難にする恐れがあると認められる場合、差し押さえ財産の換価(売却)を猶予し、分納を認める制度です。延滞税が減免されます。
 税務署長の職権による換価の猶予に加えて、納税者の申請による申請型換価の猶予(納期限から6カ月以内の申請)があり、消費税や所得税、地方税が期日通りに払えない場合、活用できます。相談は最寄りの民商まで。

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