国税通則法改正
税務調査の罰則付き情報照会

全国商工新聞 第3362号2019年5月27日付

店舗など実態ある場合 対象外

全商連の財務省ヒアリング 制度乱用するなと要請

 全国商工団体連合会(全商連)は先ごろ、国税の調査に関して、事業者等に情報照会を行うことを罰則付きで定めた「情報照会手続の整備」について、財務省へのヒアリングを行いました。国税通則法の改正(第74条の7の2)により、来年1月1日から施行されます。
 近年、増加している仮想通貨取引やインターネットを通じた業務請負など、実態が把握しづらい納税者の調査において、高額・悪質な無申告者などを特定するため、特に必要な場合に限り、事業者などに対する情報照会を行うことができる協力要請規定を整備したもの。照会情報は、氏名(名称)、住所(居所)、個人(法人)番号を対象とし、報告の拒否または虚偽報告については、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す、現行の質問検査権拒否などの場合と同様の取り扱いがされています。
 省側は、店舗や事務所を構えるなど、実態が明白な場合は対象外と明言。照会に該当するものとして、「脱税およびその指南」「金地金の取引」「国外送金」などを例に挙げました。また、照会の実施にあたって「所轄国税局長が照会主体となり、国税庁長官の承認が必要」「報告の求めに対して、不服申し立てや取消訴訟ができる」と説明。第三者機関の判断がないことや現場での乱用の危険性を追及しましたが、「そのようなことがないように運用していく」と答えました。
 ヒアリングには立正大学客員教授の浦野広明税理士も参加。省側の説明後、「運用に歯止めをかけながら、制度の形骸化を図ることが重要」と話しました。

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