払い切れない税金に
納税緩和制度 (3)換価の猶予制度

全国商工新聞 第3359号2019年4月29日付

 換価の猶予制度は、税金を一時に納付することにより、事業の継続または生活の維持が困難になってしまう場合に、申請に基づいて差し押さえ財産の換価(売却)が猶予される制度です。
 換価の猶予は、申請型(徴151条の2)と職権型(徴151条)の二つが併設されています。
 申請型は、2015年(地方税は16年から実施)に新設されました。これを積極的に活用していくことが大切です。
 以前は職権型のみだったため、活用が難しい制度でしたが、申請型が新設されたことにより、職権を盾に拒否した場合には、「不作為」であるとして不服申し立てができるようになりました。
 その効果も、(1)換価の禁止(2)差し押さえの解除、猶予(3)延滞税の一部免除-があり、滞納者にとって事業を継続していく上でメリットがあります。表にあるように、延滞税は通常の税率と比較した場合、大きなメリットを享受できます(表)。

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 ただ、申請型については、猶予を受けようとする国税や地方税の納期限から6カ月以内に申請がされていること、という要件があり、それ以前の滞納に対応していません。長期間滞納し、金額が大きい場合は、申請型で対応できないケースがあります。
 この場合には、申請型と異なり、期間の要件がない職権型を活用するしかありません。納付の意思をしっかりと税務署などに伝え、請願や交渉により適用させる必要があります。
 換価の猶予の期間は、原則1年以内の納付を想定しており、要件により2年以内の延長が可能です。申請型→職権型と適用させればそれぞれ2年間、最長4年間となります。
 滞納金額が大きい場合は、実務上、2年で終わらないことが圧倒的であり、分納の期間が短すぎます。本来であれば、個々の実情に合わせた期間を設定できるように改正すべきです。
 納税の猶予と同様、申請書の他、猶予を受けようとする金額が100万円以下の場合は「財産収支状況」、100万円を超える場合には「財産目録」「収支の明細書」を合わせて提出する必要があります。「書き方が難しい」と投げ出さないで、民商や税理士と相談して、申請し活用しましょう。

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