全国商工新聞 第3357号2019年4月15日付
消費税の導入から30年、中小零細業者に重い負担がのしかかり消費税の新規滞納は増加の一途です。また、国保税などの地方税の滞納も問題となっています。
「応能負担の原則」に基づく課税であれば、税金の滞納は大きな問題にならないはずです。滞納問題の根本的解決には、大企業・富裕層優遇の不公平税制を改革しなければなりません。
同時に、現在、国・地方自治体による滞納者の事業や生活の実情を考慮しない強権的な取り立てが行われていますが、これに対抗していくことが必要です。
強権的な取り立ての根拠となる法律が国税徴収法です。現行徴収法は、1897(明治30)年に制定されたものが、1960(昭和35)年に全面改定されたものです。新憲法の視点から検討されず、古い強権的な考え方を引き継いだ法律になっています。
一方、徴収法と国税通則法には「納税緩和制度」が不十分ながら、整備されました。(1)納税の猶予(通46条)(2)換価の猶予(徴151条、151条の2)(3)滞納処分の停止(徴153条)の三つの制度がその中心です(表)。
国税庁は納税緩和制度の目的について、さまざまな理由によって滞納してしまった納税者に対して、「強制的な徴収手続を緩和し、個々の実情に即した適切な措置を講ずることにより、納税者との信頼関係を醸成し、税務行政の適正かつ円滑な運営を図ること」(納税の猶予等の取扱い要領の制定について)であると明らかにしています。
2015年4月(地方税は16年4月)、猶予制度の見直しが行われる中で、申請型「換価の猶予」制度が新設されました。「納期限から6カ月以内の滞納」という制約がありますが、申請権に基づく法定猶予が制度化されたということです。各国税局単位で落差はありますが、国税では、「職権型」「申請型」併せた換価の猶予の実施数が、制度改正後8・5倍(13年→15年)となったように、変化が現れてきています。
この納税緩和制度を活用することにより、「差し押さえをするぞ」「競売にかけてやる」などの脅し文句に対抗し、堂々と事業を継続していくことが可能となります。