全国商工新聞 第3339号12月3日付
「禰屋さんに無罪判決を」とデモ行進する倉敷民商事務局員の須増和悦さん(前列右端)ら
倉敷民商弾圧事件(禰屋裁判)の勝利を勝ち取ろうと11月12日、岡山市内で決起集会が開かれ、11都道府県から150人が参加しました。集会後、参加者は市内をデモ行進し、裁判をたたかっている倉敷民商事務局員・禰屋町子さんの無罪をアピール。公正な裁判と無罪判決を求めて岡山地裁にも要請し、磯谷吉夫全商連副会長も訴えました。同日行われた裁判官、検察官、弁護士による三者協議で、弁護団は差し戻し審から11カ月近く経過しているにもかかわらず、まともな主張・立証計画を示せない検察官に「公訴取り消し」を、裁判所には「公訴棄却」をあらためて強く求めました。
決起集会では弁護団の則武徹弁護士が「小原・須増事件の成果、禰屋事件の課題」と題して報告。検察などが一番狙ったのは「税理士法違反事件」と強調、その視点から小原・須増事件の裁判を振り返りました。
この中で則武氏は、岡山地裁、広島高裁岡山支部がいずれも有罪判決を出す一方、「税務書類の内容が適正を欠くものであったとは認められず」(岡山地裁判決)、「申告納税制度は民主的な租税思想に親和的な制度…わが国の憲法上の要請からも十分に尊重されるべき」(広島高裁判決)などと指摘するなど、「事実上、無罪判決に近いもの」と強調しました。
さらに上告趣意書では、税理士制度・納税者の権利憲章の国際分析や税理士法の立法趣旨などを明らかにしたことを紹介し、小原・須増事件を通じ(1)民商運動の理論的な解明が進んだ(2)民商の組織的弾圧を食い止めた-と指摘しました。
今年1月に広島高裁岡山支部で「一審差し戻し」となった禰屋さんの事件について、5月、6月、9月と3回の三者協議が行われたにもかかわらず、検察官が「まともな主張・立証計画」さえ提出できず「異常な事態」になっていると告発。裁判所に意見書を提出し、検察官に対しては「公訴の取り消し」を、裁判所に対しては「公訴の棄却」を求めていることを明らかにしました。
支援団体からの報告では、国民救援会本部や各地の支援する会などが発言。大阪の三谷信雄さんは「弾圧に対するたたかいは、消費税増税とのたたかい。増税路線と真正面からたたかっているのは民商だ。民商運動の正当性を語りながら、裁判勝利を」と訴え、全商連の磯谷吉夫副会長は「暴走する安倍政権の軍拡と増税の根っ子は一つ。たたかってこそ、権利は守られる。禰屋裁判の勝利に全力を挙げよう」と呼び掛けました。
禰屋さんは、「無罪判決を求める署名」が倉敷市の人口に匹敵する4万7000人まで、あと700人に迫ったことを紹介。その上で、一審判決が民商を「組織的犯罪集団」とする一方、一切の証人も認めず、検察言いなりの判決を出したことを指弾。「強固な砂山も1粒から崩れる」として、勝利に向けさらなる支援を訴えました。
集会は、今後の運動として(1)検察に公訴取り下げを迫る団体署名、裁判所には無罪を求める署名を抜本的に強化すること(2)来年1月20日前後に開催する全国的集会の成功(3)倉敷民商弾圧事件を知らせる全国的な大量宣伝-に取り組むことを確認しました。