全国商工新聞 第3338号11月26日付
岩手県一関税務署のでたらめな税務調査によって200万円もの追徴を課せられそうになった一関民主商工会(民商)のSさん=建設。民商の仲間と一緒に抗議し、追徴を撤回させ、11万円の消費税の還付を勝ち取りました。「民商の仲間が支えてくれたから真っ当な調査になった。そうでなければ、詐欺まがいの追徴を食らってしまっていた。みんなにも注意を喚起したい」と話しています。
Sさんが税務調査の事前通知を受けたのは昨年8月上旬。すぐに民商に相談し、仲間と一緒に税務調査の心得や納税者の権利を学びました。同時に税務署とも交渉し、納税者の理解が得られるような調査を行うことを求めました。
1回目の調査は9月14日に行われ、民商役員らが立ち会い、その後の調査は月に1回のペースで行われ、問題もなく進んでいきました。
調査から10カ月が経過した今年7月、2014年から2016年まで3年分の帳簿の確認が終了、調査官はSさんに「調査結果の説明」を行いました。そこで示されたのは、所得税が110万円、消費税が90万円と合計200万円の追徴を課すというものでした。
驚いたSさんは、追徴の根拠を質問したところ、調査官は「5件ほどの売り上げ計上漏れがあったので、所得税は追徴になる。消費税は仕入税額控除にミスがあった」と説明。釈然としないSさんは、計上漏れとなった取引や消費税の計算ミスを明らかにするように要求しました。
後日、再説明をした調査官は前回の説明を一転させ、「売り上げ計上漏れとした取引は1件のみ。消費税は計算が合わない」とあいまいな説明に終始したため、Sさんは「それでは納得できない」と調査官に抗議しました。
さらに3週間近くが経過した9月26日、Sさんは民商役員と一緒に一関税務署と再度交渉。総務課長に「どの部分が間違っていたのか、どの取引が漏れていたのかを説明してもらわないと困る」と追及。総務課長は課税根拠の説明を約束しました。
10月9日、3度目の説明で調査官はまた2回目と異なる説明をし、「所得税は、売り上げの計上時期が1件間違っていたことと、重機の修繕費が減価償却にも二重に計上されていたことで50万円の追徴。消費税は私が計算ミスをしたようで11万円が還付される」と説明。Sさんは、調査の説明に納得し、その場で修正申告を済ませました。
小野寺喜久雄会長=建築設計=は、「この事件は、いかに税務署がでたらめなことをやっているかを示すもの。納税者が権利をきちんと学び、声を上げない限り、横暴は強まる。税務署のやり方をただすためにも自主計算を強め、民商をもっとく大きくしよう」と呼び掛けています。