全国商工新聞 第3337号11月19日付
片山さつき地方創生担当大臣(以下「片山大臣」という)をめぐる疑惑が後を絶たない。本稿ではそのうちの「口利き」問題について言及する。
A社長は2015年、税務調査で青色申告を取り消されそうになった。そこで片山大臣に相談、同大臣の秘書を通じて、同大臣の私設秘書(税理士)を紹介された。A社長は「口利き」の対価として、同年7月、私設秘書に100万円を支払った(「週刊文春」)。
A社長は、片山大臣から紹介された私設秘書に税理士の仕事を依頼したのではなく、片山大臣に口利きを依頼したと認識している。わざわざ100万円を払って私設秘書に頼む理由がないと述べている。
つまり、法的実質として、A社長は片山大臣に税務署への口利きを依頼し、片山大臣は税務署に口利きをして100万円の賄賂を受け取ったことになる。
ところで、片山大臣は公務員である(国家公務員法2条3項)。公務員が賄賂を受け取ることは犯罪である。この犯罪について刑法は次の規定をしている。
「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する」(197条1項)、「公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、又は相当の行為をさせないようにあっせんをすること又はしたことの報酬として、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する」(197条の4)
片山大臣が受領した100万円は「雑所得」(所得税)となるのであるが、所得税を免れている。「偽りその他不正の行為により、所得税を免れると、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金」となる(所得税法238条)。
政治家が自己の行為に責任を取らないことが、日本の政治をだめにして、国民の政治不信をかっている。公約を守らない、前言を覆す、秘書がやったこと・妻がやったこと、第三者の調査を待って、など他に責任を転嫁することがなされる。
犯罪を犯している片山大臣には責任を取ってもらわねばならない。