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愛知県・中川民商Kさんの店 ガソリン1リットル121円
値下げ分は自己負担に
対応に追われる中小業者
暫定税率の期限切れでガソリンの税負担が1リットルにつき約25円下がった1日、各地のガソリン販売業者は対応に追われました。「暫定税率の廃止は当然だが、復活させる動きもあり、中小業者泣かせだ」と怒ります。在庫分を値引き販売せざるを得ず、数十万円が自己負担となったのが名古屋市内でガソリンスタンドを経営する中川民主商工会(民商)のKさん。その実情とは‐。
Kさんは1日、26円下げて1リットル121円の表示を掲げました。朝から「いくら?」という電話が鳴りっ放し。「26円下げました」と言うと「ありがとう」の声。通常の2倍の客が詰めかけました。
この地域は激戦区。31日の夜中、同業店の様子を見に回ったところ、24時間営業の店はすべて引き下げていました。1日以前から「10円引きセール」を行っている大手のガソリンスタンドもありました。
値下げの一番の引き金になったのがすぐ隣のセルフスタンド。夜中11時に突然電気が消え、点いたのが夜中12時ちょうど。
「おかしいと思い、見に行ったら値段を下げていた。それからは大車輪。夜中3時半までかかって値段表示を変え、コンピューターのプログラムを変更した。値下げしないとどうして隣と違うんだと、お客さんとトラブルになってしまうから」。
すでに3月半ばからの買い控えで売り上げは激減。値下げについて特約店(1次販売店、Kさんは2次販売店)は「自分の判断でやってくれ」のひとことでした。
暫定税率戻れば
また大変に
Kさんが悩んだのは暫定税率が戻るような事態になったとき。再度のコンピューターのプログラム変更は大変です。今回、コンピューターメーカーから膨大な「変更の手引」が送られてきましたが、「トラブルが起きても一切責任はとりません」の一文が入っていました。
品切れも心配です。メーカーには1日から6日の注文が殺到しているためKさんの注文は保留状態になっています。
開業30年、この間にガソリン税が上ったのは2度。「その際は朝一番に税務署員が来て、在庫を調べ、追加の税金をしっかり取られた。ところが今回署員は来ない。上げるときだけ来て、下げるとき何もないとは納得できない。きっと混乱する」と心配します。
軽油取引税の暫定税率がなくなることで不安も。製油所からの出荷時に課税されるガソリンと違い、元売りから購入した特約店が税金を払うシステムのため、Kさんは暫定税率込み軽油を仕入れせざるを得ません。
特約店から「軽油は申請すれば戻ると言われたが、それも申請すればの話。ガソリン税の差額数十万円は全部かぶる」と深刻です。
「セルフスタンドがあちこちにでき、お客さんは1円でも安い店を探している。うちもセミセルフのお店として値段をぎりぎりまで下げており、この負担は大変。末端の業者にしわ寄せする政治はやめてほしい」と話していました。
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