横浜にカジノいらぬ
住民投票で是非を問え

全国商工新聞 第3394号2020年1月20日付

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「カジノはいらない」「勝手に決めるな」とコールする市民集会の参加者=12月12日、山下公園

 カジノを中核とする統合型リゾート(IR)に関わって、昨年末に自民党の秋元司衆院議員が収賄容疑で逮捕されて以降、カジノ疑獄が広がっています。「カジノ利権は許さない」「カジノはいらない」と誘致に反対する市民集会(12月12日)が開かれた横浜市では、住民投票条例を制定し誘致の是非を問おうと、民主商工会(民商)をはじめ超党派で運動しています。

 林文子市長が市長選挙(2017年7月)で「白紙」としてきたカジノ誘致を、19年8月に一転。正式に誘致を表明したことに市民は憤っています。
 市民置き去りの表明に対し、多くの市民が立ち上がり「カジノの是非を決める横浜市民の会」が発足。「市民の手で横浜・山下ふ頭賭博場開設場STOP!!」と、横浜市内の山下公園でカジノ誘致に反対する市民集会を開きました。2000人が集い、「カジノはいらない」「勝手にきめるな」と林市長に誘致撤回を強く迫りました。
 住民投票実施本部長の岡田尚弁護士が基調報告。「直接請求に向けた署名活動を担う受任者を5万人にすることをめざそう」と呼び掛けました。

原発誘致と同じ

 市内在住、慶応大学の小林節名誉教授(憲法学)がゲストスピーチ。「私たちが働いた収入を博打で巻上げ、その利益をアメリカのカジノ企業が持って帰る。経済的に何も生み出さない。それを後押しするのが市議会で多数を占める自民、公明」と、カジノを「成長戦略」として掲げる安倍政権を告発しました。
 元経済産業省の古賀茂明氏は「カジノ事業に依存すれば、原発が立地する地域と同様に、やがてカジノがないと生きていけなくなる」と警告しました。
 立憲民主党、日本共産党、社会民主党、緑の党、新社会党の市議や県議、国会議員らが登壇。カジノ誘致撤回へ決意表明しました。
 集会に参加したTさんは「トランプ大統領の言いなりにカジノ誘致など大反対。ギャンブル依存症などが増えれば街の品性が失われる。金もうけなら何をやってもいいのか。自らの利権を得るためにばくちで金もうけして、市政を運営するなど許されない」と憤りました。

民商役員 私もカジノに反対です

「とばく」で経済対策か

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横浜東民商副会長 阪東 賢治さん
 民商では「全会員を受任者に」と運動を進めています。「経済対策」なら、何をしてもいいのか。ギャンブルで市民や中小業者の懐からお金を巻き上げ、課題を解決していいのでしょうか。税金を投入するなら、高すぎる国民健康保険料の引き下げや経営設備支援助成補助金の増額、学校給食などに回すべきでしょう。ギャンブル依存症対策など負の側面が、まだまだ市から語られていないと実感しています。
 私は集団就職で上京し、その後、横浜・元町商店街の婦人服の店舗に勤めた後に飲食店を開業しました。元町商店街には本当にお世話になりました。カジノができたら、元町商店街の人の流れが変わるのではないかと危惧しています。開港から160年、横浜が培ってきた文化を守っていくことが大事だと思います。

開港以来の印象壊すな

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横浜南部民商副会長 仙 豊茂さん
 横浜市内にはパチンコ、場外馬券場などギャンブル施設はあるので土日、伊勢佐木町はごった返します。カジノ誘致に市商工会議所、元町、伊勢佐木商店街は賛成しています。確かに潤う部分もあるのでしょう。日の出町界隈の飲食店街も人は入るかもしれない。
 しかし、私の商売である不動産関連でいえば、カジノ誘致で不動産立地など、イメージが悪くなる。カジノで、開港以来の異国情緒豊かな横浜のイメージが壊れるでしょう。民商ではこの春、税金相談の中で受任者を募っていきたい。来年は横浜市長選。それをにらみつつ、運動を進めていきます。

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