全国商工新聞 第3383号2019年10月28日付
1時間に約100ミリの大雨を観測した県内。宮古市で会員18人、久慈市で会員8人の自宅が浸水。釜石市の上閉伊民商・斎藤和彦副会長の作業場でも浸水し、影響が出ています。
川越市では、越辺川が大谷川との合流付近で決壊し、近くを流れる小畔川も氾濫。付近の工場や団地の1階部分が広範囲に浸水しました。特養老人ホームに約260人が取り残される事態も。民商事務所の裏を流れる新河岸川の複数箇所で氾濫が発生しました。
東松山市では、都幾川と九十九川の複数箇所が決壊。大型ショッピングモールが水に漬かりました。台風前に刈り取った米の保管倉庫が浸水するなど農業被害も甚大です。
鳩山町では河川が氾濫。ときがわ町でも土砂災害が発生しました。民商会員から自宅の浸水、車の水没などが報告されており、下田明成会長ら役員を中心に会員訪問を行っています。
茨城県連事務局長の綿引悦朗さん宅も浸水し、民商の仲間たちが駆け付けて片付けを手伝いました
39市町村で避難勧告や避難指示が出て、国・県管轄河川の48カ所で水があふれました。那珂川・久慈川沿いの水戸、那珂、常陸大宮の各市や大子町で、堤防の決壊や越水による被害や土砂災害が発生。茨城県連の綿引悦朗事務局長宅(常陸太田市)は13日、60センチの床上浸水に見舞われ、青年部長の森作勲さん、全青協幹事の小室慶太さんが午後7時まで作業。共済会の冨岡進理事長=水道工事=が下水の状況を確認しました。
床上浸水した栃木・佐野民商会員のクリーニング店の玄関脇
永野川などの氾濫や秋山川の決壊などで県内の広範囲で浸水。佐野民商ではクリーニング店とダンプ運送の会員宅2棟が床上浸水。
栃木小山民商では保険外交員や小売業の会員宅など床上浸水2棟、床下浸水6棟。飲食店の会員が床上浸水し、車4台と冷蔵庫3台、調理器具が使用不能に。
足利民商では、唐揚げ店の会員の店舗と自宅が床上、秋山川のすぐ脇に住む内装業者の会員宅は床上60センチ、とび職の会員宅は床上50センチまで浸水。塗装業の会員の作業場が床上、自家用車も水に漬かりました。
建物が大きく破損した県南民商の地域
千葉県連は18日、県南部民商の会員を訪問。婦人部員の自宅兼事務所の屋根が台風15号で破損し、濡れた箇所を業務用扇風機で24時間かけて乾燥。兄弟でビデオレンタルショップを営む会員は15号で看板や窓ガラスに物が飛んできて故障。「看板は直したが、19号で再び破損。罹災証明書の申請もしたが、見に来ていない」と語りました。看板業の会員は「雨が降ると本当に不安」と述べました。
道路が泥だらけで、動けなくなった車が何台もありました(世田谷区)
多摩川が氾濫し、各民商で家屋や店舗に大きな被害が。玉川民商では「ひざ上まで浸水。機械もモーターも水をかぶった」(金属加工)、雪谷民商では「事務所1階が70?の床上浸水」(電気工事)、「書類や応接セットなどが冠水」(不動産)、八王子民商では「副会長の機械加工の工場が腰まで浸水。機械が水浸しになった」、北区民商では「台風15号で店舗兼住宅の屋根が飛び、畳が濡れた被害が拡大」(飲食)、練馬民商では「店舗が浸水し、バイクが漬かった」(中古車販売)などの被害が出ています。
相模原民商では、会員の鶏卵業者の敷地で土砂崩れが発生。市道に土が流出し、市から撤去費用を求められ、困っています。
川崎中原民商では、事務所が床下浸水しました。
台風などの被害を証明する「罹災証明書」は、自治体が被災家屋の状況を確認して発行するもので、支援金の支給、税や保険料、公共料金の減免・猶予、融資など、被災者支援策適用の判断材料として活用されています。申請の手順やポイントを紹介します。
被災者が申請→市町村が被害状況を調査→罹災証明書の交付
市町村で申請書に記入します。証明まで時間がかかったり、申請期限が設けられたりする場合もあるので、早めの相談を。
被害の写真、印鑑、身分証明書など
被害状況が確認できない場合、罹災証明書を発行しない自治体もあります。片付けの前に、必ず写真に残しましょう。
自治体による被害認定調査では、屋根・柱・床(階段含む)、外壁、内壁、天井、建具、基礎、設備の被害を確認し、「全壊」「大規模半壊」「その他半壊」などの認定を行います。記録写真は、全体写真や浸水の深さが分かるものに加え、床下への土砂の流入、配管のつまりなども撮ります(図)。
家屋以外の門扉、カーポート、車や家財などの被害も記録しましょう。自治体によっては、「被災証明書」などを出すところもあります。車の場合、ナンバープレートが写るように撮影してください。