エアコンや市内業者に
60の小中学校に設置へ

全国商工新聞 第3344号2019年1月14日付

「発注は従来方式で」

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質問に立つ竹内茂長野市議

 長野市は12月定例議会で、60の小中学校での教室へのエアコン設置のための補正予算を決定するとともに、日本共産党の竹内茂市議会議員(長野民商副会長・建築設計事務所1級建築士)の質問に答え、「クーラー設置工事の発注はPFI方式(別項)ではなく従来方式で行う」ことを明らかにしました。

 竹内議員は、「長野は涼しいように思われるでしょうが、盆地なので夏の昼間は東京より暑いのです。教職員の協力を得て行った調査によると、温暖化の影響もあり、昨年、教室で30度を超える日は50日以上でした」と話します。こうした状況を踏まえ、2017年の議会で取り上げ、設置を求めてきました。
 12月議会では、発注方式について「発注の細分化と入札を『一抜け入札』にして、工事を多くの業者に行き渡らせるようにすべき」と提案しました。
 これに対し、教育次長は「本事業については、一括で発注するのではなく、地域性や事業規模など一定の基準により、複数の学校をグループ化して実施する」こと、入札も落札者が重複しない「一抜け方式」の「採用についても検討する」ことを表明しました。
 竹内議員は「長野市内の業者が力を合わせれば、短期間で早期に広範囲で一斉にエアコン設置を行うことができる。地域の子どもたちのために、地域の業者が取り付け工事をする。理想的なスタイルが実現できた」と喜びます。
 なお、長野市の加藤久雄市長は、こうした方向を踏まえ、設置工事を円滑・迅速に進められるよう市電設業協会と市空調設備協会に協力を要請しました。

解説・PFI 欧米では破綻相次ぐ

見直し、再公営化の動き

 「PFI(Private Fi-nance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う新しい手法です。国は1999年、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)を成立させ、翌年3月には、PFIの理念とその実現のための方法を示す「基本方針」を策定し、事業の枠組みを決定しました。
 この方向に基づき、民間の資金、経営能力、技術的能力を活用することにより、国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供できる事業について、PFI手法で実施することを求めてきました。ところが、全国的に同手法の採用が進まないため、2011年、13年、15年と法改正。総務省通知を出し、人口20万人以上の地方公共団体は、10億円以上の公共工事について、PFI手法を優先的に検討すること、PFI手法を採用しない場合は「理由を報告」することを求めるなど、圧力を強めてきました。
 PFIは英国など海外で進められてきた方式で、「有料橋、鉄道、病院、学校などの公共施設等の整備等、再開発などの分野で成果を収めてい(る)」ことを政府は強調してきました.しかし,公共サービスの民営化は欧米各地で失敗・破綻をきたし、パリの水道事業はじめ電力、交通、水道など多様な自治体サービスで再公営化の動きが起きています。日本でも同様に破綻・見直しの動きが出ています。(本紙11月12日号1面参照)

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