全国商工新聞 第3338号11月26日付
半壊、一部損壊の補修など中小業者支援を求めた大商連の府交渉
切実な実態を持って45人が参加しました
大阪商工団体連合会(大商連)は9日、「自然災害に対する中小業者支援を求める大阪府交渉」を大商連会館で行い、中小業者への独自支援の創設などを求めました。大阪府から出席した担当者は「災害対応についての見直しは必要と感じている」と「検証」や「見直し」の必要性を認めつつも、踏み込んだ対応ができない苦渋をにじませました。
大阪府からは、危機管理室はじめ商工労働部など担当部署から15人が出席、府内民主商工会(民商)からは藤川隆広・大商連会長はじめ45人が参加しました。
交渉は、「大阪北部地震」と「台風21号」に伴い大商連が提出していた「被災者の生活と営業の再建を求める緊急要望」(7月10日並びに9月14日)に対する大阪府の文書回答を受けて行われたもの。
参加者が、被害実態や職人不足で復旧が進んでいないなどの実情を次々に訴えました。
ぼろぼろに崩れた屋根瓦。手付かずの家も少なくない
「屋根に穴があいたが1円の支援もない。穴はそのまま」(生野)、「屋根が半分飛んだが固定資産税の減免は却下された」(生野)、「もう5カ月たつが工事は進まない。足場を組んでも、板金屋が来ない、左官、屋根屋が来ない。工事が進まず50軒のうち終わったのは2軒だけ」(高槻)、「飛んだスレートの屋根が散らばっている。アスベストが含まれているのに放置されている」(寝屋川)、「一部損壊でも被害額は100万円以上になり、停電も重なり被害は甚大。支援がないと事業継続も難しい」(堺南)、「いまだに、ブルーシートだらけで見積もりも取れない」(泉南)など、独自支援が求められていることを訴えました。
府側は、「災害対応についての見直しは必要と感じている。今まで足りなかったところをしっかり検証して再構築しないといけない」と述べつつも、「業者への支援は融資でという考えだ。他府県でできて、なぜ大阪でできないかといわれると大変つらい」と述べました。国保減免の要求については、「国に財政支援を要望している」と責任を回避しました。
参加者は「被害額さえ掌握していないのは無責任。経済センサスでも小規模事業者の減少は、全国比でも悪い。融資一辺倒を見直すべきだ」「一部損壊でも国保減免が受けられた市町村が、統一化による府の基準で減免を受けられなくなるのは問題。保険者である府の権限でできるのだから、率先して実施すべき」「万博やカジノばかりに熱心だが、想定外の被害が続いている今こそ、財政調整基金の一部を取り崩し、復旧やリフォーム助成などに充て、府民に応援のメッセージを出してほしい」と再検討を求めました。
副会長の原田孝夫さんは「府から寄せられた回答に失望したが、今日の懇談を通じ、危機感も共有できたと思う。行政側からも見直しが必要との考えも示されたので、今が動かしていくチャンス。市町村への働きかけも行い、26日には大阪市交渉を持ち、要求をぶつけていきたい」と語ります。