税務署が赤字? 消費税輸出還付金の秘密
消費税収入がマイナス(赤字)の税務署が全国に10署あり、赤字額トップの愛知・豊田税務署の還付はほぼトヨタ自動車1社に対するもの―。元静岡大学教授で税理士の湖東京至さんの調べで判明しました。湖東税理士は「輸出還付金制度は消費税の不公平性のなかでも最たるもの」と来年4月からの増税中止を強調しています。
表1、2は湖東税理士が2011年分の各国税局の発表資料や各社の有価証券報告書から推算したもの。
表1は、消費税収がマイナスの大きい順に並べたものです。トヨタ自動車の本社がある豊田税務署はマイナス1365億円、日産自動車の本社がある神奈川税務署はマイナス561億円と続きます。
湖東税理士は「消費税の税収がマイナスということは、その税務署管内の納税額より還付金の方が多いことを示している。消費税の不公平性を示す証拠と言ってよい」と指摘します。
表2は、消費税の還付金が多い上位6税務署と還付を受け取っている大企業名と還付金額を示したものです。
1位の東京・麹町税務署管内には、三井物産や丸紅、三菱商事などの本社があります。2位、3位も東京都心の税務署で、4位が豊田税務署です。豊田税務署の還付金額1700億円のほとんどがトヨタ自動車1社に対するものであると思われます。上位6税務署の消費税の還付金額は1兆1795億円で、うち大企業13社への還付金額は推算で8342億円にも上ります。
湖東税理士は「輸出大企業への還付金は消費税の税率が上がれば上がるほど増える。だから財界が税率引き上げに執着する。この問題を放置したまま予定通り増税を実施するのは大問題」と語ります。
全国商工新聞(2013年11月11日付) |