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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第2854号 11月10日付
 
税金 消費税
 

消費税は究極の不公平税制

大企業は「益税」、中小には「酷税」

 2015年までに消費税を10%にすると主張する麻生首相は10月30日、追加経済対策を発表した際、「3年後に消費税を上げる」と明言しました。政府税制調査会では「消費税は公平な税」との論議までされています。黒川功・日本大学教授はシミュレーションで「消費税は強者には優遇、弱者には酷税」であることを明らかにしました。消費税率を上げれば上げるほど大企業はもうけ、中小企業は赤字に転落する驚くべき結果になっています。消費税増税反対の宣伝や対話で大いに活用しましょう。



 実際の取引ではどうしても強い会社はわがままを言います。商品の仕入れに際しては買いたたきを行います。
 例えば下請け会社が、100万円で卸していた商品に消費税を転嫁して105万円で納めようと考えたとします。ところが、大企業から「何言ってるんだ。お前のライバル企業は企業努力で100万円で卸してくるぞ。ウチではお前から買う必然性はない。お前はどうする?」と言われたら、「分かりました」と100万円で卸すことになりがちです。
 消費税というのは転嫁できていようといまいと、自動的に売り上げ105分の5から仕入れの105分の5を控除した差額を納付するものです。そこで転嫁に失敗すると、転嫁してもいない消費税を負担しなければならなくなります。
 逆に転嫁を拒絶することに成功した大企業は転嫁されてもいない消費税を控除したり、還付を受けたりすることができます。



 「公平・中立」のウソは明らか
 ところが、政府税調や多くの財政学の先生たちは「消費税は公平な税」「産業中立的な税」「商売に何の影響もありません」と言うのです。これを示すのが別表の「建前」の部分です。
 みなさん、ウソだと分かりますね。
 先ほど言った転嫁できないというケースは、別表では「下請型」です。売り上げは105のつもりだったのに100じゃないと買わないと言われて100のままです。自分は転嫁拒絶できませんから、仕入れは84に増えています。実質的に消費税分単価を切り下げられ、本当は転嫁できていないにもかかわらず消費税を0・76納付させられる中で人件費10を払うと、それだけで利益は5・24に圧縮されてしまいます。法人税等もその分少なくなりますが、肝心の税引き後利益は2・62にまで落ち込みます。
 「建前」の利益5のなんと52%です。消費税が払えなくなって、滞納が出るのは当たり前ですね。

 消費税の増税で大企業は大増益
 一方、わがままな大企業はというと、ちゃんと売り上げには転嫁できて、下請けからは買いたたくので、何もしなくても税引き後利益は138%の「大増益」になります。
 さらにそこで消費税率10%になるとどうなるか。大企業は172%もの利益アップ、下請型は9%の大減益になります。もう利益などほとんど出てきません。
 政府がいうように20%になったらどうなるかというと、もう説明する必要はないでしょう。中小企業はやればやるほど、赤字にされかねないのです。
 つまり、転嫁をめぐる価格設定というたたかいの中で勝利を収められない弱い企業は、課税上も大変な負担を被るということなのです。
 図を見ても分かるように、現実に小さい企業ほど転嫁できていません。全体を見てもなんとかまともに転嫁できているのは半数以下、特に売り上げ1000万円以下の階層では35%が全然転嫁できていませんでした。
 つまりこのシミュレーションは杞憂ではなく、現実に起こっていたことだったのです。
 しかも真の益税というのは、実は大企業が受ける莫大な「益税」だったということです。消費税は、不当利得を得ている大企業には「泥棒に追い銭」、搾取にさらされる中小企業には「泣きっ面に蜂」となって不公平をさらに拡大するのです。
 こんな税金のどこが公平なのでしょうか。
 消費税そのものが、強者には補助金・弱者には収奪となる極めつけの不公平税制なのです。


   
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