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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第3236号10月17日付
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税金 徴税攻勢
 

マイナンバー漏洩危機? 特別徴収通知対応どうする

 従業員のマイナンバーが記載された「住民税の税額通知」が届いたが、どう取り扱ったらいいのか? その対応を紹介します。

 2017年5月、従業員の居住先自治体から、マイナンバー(個人番号)が記載された「住民税の特別徴収税額決定通知書」が、勤務先の事業所に郵送されています。民主商工会(民商)は、個人の尊厳を侵害する個人番号制度の廃止を求めるとともに、番号を記載しないよう自治体に要請しています。これを受けて、番号を記載しないこととした自治体もありますが、少なくない自治体は番号記載した通知書を送り始めています。番号記載の問題点や番号が送られてきた場合の対応、民商の取り組みを紹介します。

従業員と事業主の情報と安全を守ろう

〜マイナンバー 私はこうします〜
役所に再発行求める=埼玉県連会長/菊池 大輔さん

菊池さん

 私の建築設計会社は従業員から「マイナンバー制度に反対なので個人番号を集めないでくれ」と言われています。番号が記載された決定通知書が会社に送られてくることは、従業員の意に反します。ですから、会社としては決定通知書を開けるわけにいかないのです。普通郵便で送られてくれば、会社の郵便ポストは大通りに面しているので、決定通知書が盗まれる可能性もあります。
 総務省は「事業所は開けても良いという法律になっているので問題ない」との立場ですから、驚きです。会社は従業員の意思や個人情報を守らなくても良いと考えているのです。会社としては納付書が来た時点で番号が書き込まれているか役所に確認し、書き込まれていたら封を開けず、番号記載がない決定通知書の再発行、もしくは番号が黒塗りされた決定通知書を要求することにしています。


番号の記載を総務省が強要 明らかな憲法違反
税理士/佐伯 和雅さん

佐伯さん

 総務省は、住民税特別徴収税額決定通知書(特別徴収義務者用)に個人番号を記載しないことを求める個人・団体や、その事務を行う地方自治体からの心配の声に耳を傾けず、「技術的指導」(Q&Aなど)なるものに基づいて番号の記載を強行させる姿勢を崩していません。
 最近行われたアンケートによると、首都圏を中心に個人番号を記載しないとする自治体が多く見られるようになりました。地方自治体の担当職員は、「情報保護の観点から問題がある」と口をそろえます。
 そもそも、個人番号制度は国民が求めたものではありません。政府が国民を管理するために導入したものです。
 憲法13条ではプライバシー権を保障しています。政府は、個人の買い物や医療など生活の隅々までの情報を把握できる仕組みをつくり上げようとしています。そのために、個人番号を「なし崩し的」に国民にバラまこうとしているのです。その代表的な方法が決定通知書に個人番号を記載することです。
 個人番号を事業者に提出していない人の番号でさえ、第三者である事業者に通知せよというのですから、総務省のやり方は明らかにプライバシー権を侵害した憲法違反です。また、地方自治体が個人番号の記載をしないことを決めたのは、憲法に定める地方自治の本旨(憲法92条)によるものです。
 総務省は各自治体の判断を憲法に従い尊重しなければなりません。

「請願書」で意思示そう
 総務省 番号記載へ自治体に圧力

プライバシーに配慮し不記載の自治体増える

図氏名の右に「個人番号」が設けられた住民税の特別徴収税額決定通知書(一部)

 決定通知書は5月末までに事業者に送付されます。納税義務者用には番号が記載されませんが、従業員の徴収額を一覧表で通知する特別徴収義務者用に番号が記載されようとしています(上の写真)。番号法では事業者は番号の利用目的を従業員に通告し、番号提示を求めることになっています。従業員が番号提供を望まない場合は、強制できず、その経過を記録することが示されていました(提供や記録がなくても罰則はない)。
 決定通知書には番号を事業者に提供したくないという従業員の番号も記載され、しかもほとんどの自治体が普通郵便で送付しようとしています。
 各地の民商は「番号を提供していない従業員のプライバシー権を侵害する」「番号漏えいの危険性がある」など問題点を指摘。「決定通知書に番号を記載すべきではない」と自治体に働き掛け、要望に応えて「番号欄にアスタリスク(*印)を印字して送付する」ことを検討する地方自治体が広がっていました。
 ところが総務省は3月6日、「個人番号に関するQ&A」を都道府県市町村担当者に、事務連絡を発出。「個人番号の不記載や一部不記載(アスタリスク表示を含む)とすることは認められません」と通知しました。事務連絡を受け「決定通知書に番号を記載しない」としていた自治体が「番号を記載する」と方針転換した自治体もあります。
 一方で、名古屋市は決定通知書への番号不記載を決め、大阪市や宮城県仙台市は決定通知書に番号を記載せずに送付し、別便で「受給者番号と個人番号を記載した『付票』を送付」します。
 総務省との交渉では自治体が番号を記載しなくても「地方税法上の罰則はない」ことを確認していますが、自治体に番号記載を強要する姿勢を崩していません。
 国会では田村智子参院議員(共産)が「住民の利益を考慮した自治体の判断に対して尊重すべきではないか」と質問。山本幸三地方創生担当相が「国と地方公共団体の関係は対等関係」と答弁し、自治体の判断を尊重すべきとの認識を示しました。
 日本弁護士連合会(日弁連)は個人番号記載欄の除去等を求める意見書を発表しました。
 全国商工団体連合会(全商連)は「私の個人番号を記載しないこと」「従業員の番号を記載しないこと」を求める請願書を自治体に提出することを呼び掛けています。

あなたのマイナンバーの取り扱いを確認しよう!
※下記の画像をクリックすると【住民税特別徴収通知書への個人番号(マイナンバー)記載 自治体別対応一覧】をPDFでご覧頂けます。

住民税特別徴収通知書への個人番号(マイナンバー)記載 自治体別対応一覧

全国商工新聞(2017年5月15日付)
 

↓↓過去の関連記事 全国商工新聞(2016年10月17日付)↓↓

マイナンバー漏えいの危機 特別徴収通知書に記載し送付

重大な権利侵害 是正を=師岡徹税理士
 総務省は「住民税特別徴収通知書」に従業員のマイナンバー(個人番号)を記載して事業主(会社)に送付するよう自治体に通知しています。従業員の個人番号が強制的に事業主に提供され、郵便物の紛失や誤配送などによって個人番号が漏えいする危険性も高まります。東京23区に自治体アンケートを出した東京南部会計の師岡徹税理士が問題点を解説します。

図

 2017年以降の各事業主宛てに送られる「住民税特別徴収通知書」(以下「通知書」)に、従業員の個人番号を記載することが東京税理士会の理事会で報告されました。
 東京23区全ての区長宛てに(1)個人番号を提供しないことにより行政上の不利益な取り扱いがあるか(2)通知書に個人番号を記載するか(3)記載する場合、郵送方法はどのようになるか―などについて質問状を送付。15区から回答がありました(10月5日現在)。
 明らかになったことは―。
 第一に、懸念していた通り、総務省から通知による個人番号記載の「指示」が出され、事業主に送る通知書に個人番号を記載するとした役所がほとんどでした。
 事業主に個人番号を提供するかどうかは、従業員の人権・個人情報に関わる問題であり、提供する・しないは従業員の自由です。しかし、来年の「通知書」には、従業員の意思にかかわらず、役所から個人番号を強制的に提供されてしまうことになります。これは国・地方自治体による重大な権利侵害です。ブラック企業などに所属する場合など、番号を提供したくない従業員もいるかもしれません。
 第二に、郵送方法の問題です。特定個人情報保護の観点から、簡易書留とする区役所もありますが、普通郵便で送付する区役所もあります。個人番号制度開始にあたっての各世帯への通知でも誤配送が相次ぎました。従業員全員の番号が記載されているものが誤配送された場合、制度開始当初と比較にならない流出規模となります。

自治体にとまどい 改善求め要望も
 役所にも戸惑いがあり、「東京都市税務事務協議会において個人番号記載を不要とするよう総務省に要望、制度改正を申し入れている」(足立区、世田谷区など)などの回答もありました。
 個人番号制度は、この件だけを見ても制度上欠陥だらけ、問題だらけです。今年1月から運用が始まり、12月の年末調整から本格的な運用が始まりますが、番号制度を実質的に機能させないたたかいが重要です。

全国商工新聞(2016年10月17日付)
 
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