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  トップページ> 全商連とは > 全商連付属・中小商工業研究所> 全国商工新聞 第2798号 9月17日付
第15回中小商工業全国交流・研究集会
 

分科会

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「SOHOしずおか」では貸しブースと共有スペースで、生まれているさまざまな成果を情報交換
呉服町商店街 SOHOしずおか 移動分科会
町の発展見据える

 中小企業庁の商店街77選にも選ばれている呉服町商店街と「SOHOしずおか」を視察。
  座長の山本義彦・静岡大学副学長が、市内に元気な商店街があるのは個店の努力だけでなく、78年にイトーヨーカ堂の市中心部への出店計画を商店街、市民が結束して断念させたことが先駆的で大きな意義があったと紹介。
  同市経済局商工部産業政策課の高木強さんが同市の産業政策を説明し、二つに分かれて行動しました。
  「呉服町商店街と町並み散策」では、5店舗を組をつくって訪問。
  同商店街振興組合との懇談では、池田屋かばん店店長で同組合役員の池田浩之さんが、異業種の強みを生かして100点以上の製品を開発した「一店逸品」運動のとりくみと、将来の呉服町の発展を見据えた地権者・店主・組合によるランドオーナー会議のとりくみを説明。
  「常に勉強してきたからこそ今がある」と熱っぽく訴えました。
  番場博之・千葉商科大学教授が「商店街の活性化の中心は人づくりにこそあることを学んでほしい」とまとめ報告。
  分科会に参加した高知市商店街振興組合連合会理事長の広末幸彦さんは「すごい商店街。個店の魅力も素晴らしい」と感想を話していました。
  「SOHOしずおか」の訪問では、静岡市や商工会議所などがつくるSOHO推進協議会のインキュベーションマネージャーの大橋良豪さんらとオフィスを訪問。貸しブース13室を視察するとともに、起業家と既存の事業所のコラボ(協働)での成功事例を学びました。

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「私の売りはここ」「でもこうした方がいいよ」と話が盛り上がりました(「サービス業の革新とニュースビジネス」の分科会で)
サービス業の革新とニュースビジネス
経営理念を見直す

 「ビジネスとは何かを考え、自分の商売を見直してみよう」と、報告者から新しい切り口の経営を学んだ後、全員がグループに分かれて、互いの営業を見直し、商売のキャッチコピーをつくって発表するという実践的な分科会となりました。
  報告した大阪・北区民商の阿字地千佳子さん=フェアトレードショップ=は「地球にやさしい商品の魅力を伝え、途上国支援をやりがいにと開業。地域に支えられ癒やしの空間を提供している」と報告。
  日本イラストレーション協会(準備会)の堀田正典さんはインターネットの普及で、初めて発注・受注する人が増えたことから、取引ルールをつくる必要性を指摘。
  (有)IDPコーポレーションの窪千恵子さんは臨床検査技師の知識をビジネスに変換させ、製品などの説明書を消費者に分かりやすく表記する「表記コンサルティング」の仕事について報告。「これがビジネスになるの?」という驚きの声が出ました。
  芳野俊郎佛教大学教授の助言を受けた実践では、約40分近く自分の商売の分析をし、問題点を書き出すことからスタート。互いに経営について意見を交わし、「お客の気持ちを呼び込む」キャッチコピーづくりに四苦八苦。
  「自分の経営理念を見直せた」「どう手を打っていいか分からなかったのでよかった」と喜んでいました。

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呉服町商店街の池田屋かばん店の池田浩之店長からオリジナルのツイン名刺入れ「取り出し上手」の説明を聞く参加者
まちづくりと商業振興
大型店反対の運動

 イオンなどの大型店進出反対の運動が各地から報告されました。民商として地域に出店反対のビラを配布・署名活動をおこない「意見書」を市に提出(名古屋市)、商工会議所などと連携し、大型店の出店を9件止めている(福島県)、まちづくりをどう進めるかの立場で運動し、現在、出店計画を「凍結」させている(熊本県)など貴重な発言が続きました。
  また、住民とともに「考える会」などを組織し、出店を阻止した経験や交通渋滞や住環境問題で出店に反対している運動、「100歳まで安心して買い物できるまちづくりの会」(船橋市)のとりくみなどが紹介されました。
  商店街に実態調査に入った中央大学の学生は「商店街では、店舗と自宅が一緒でローカルコミュニケーションができていた。消費者と店主が分かり合える中で、商売ができるのは大変良いことだと思った」と語っていました。

地方税財政
問題や在り方討議

 自治体の大合併や地方税の増税、国民健康保険料(税)の大幅な値上げなど、中小業者を取り巻く状況が一段と厳しくなっている中で、地方財政の問題や在り方を討議しました。
  今回、初めて開かれた分科会です。
  国の政策に非協力的な自治体に対しては補助金や交付金を削減する一方、公共工事を推進すれば交付金等の財政援助をするなど財政問題を利用した国の介入の実態が報告されました。さらに住民税や国保料(税)など「税の多重滞納」(千葉県)や国税よりも地方税の未納者が多い実態(北海道)があることが明らかになりました。
  滞納者に対する回収の強化策として整理回収機構の設置(三重県)が進められる一方で、徴収強化に対応しようと「地方税シンポ」を開催し、国保料(税)や住民税の集団減免申請にとりくんでいる活動も活発に交流。助言者の静岡大学・川瀬憲子教授は「国・地方全体の流れをきちんと理解しつつ、住民の暮らし・福祉・社会保障全般が壊されている状況をつかみ、財政や税制がどうあるべきかを明らかにしていくことが求められている」と強調しました。

仕事おこしと建設業
小規模工事など交流

 公共工事入札のあり方や小規模工事登録制度、耐震改修などの仕事確保のとりくみを交流。鳥取民商の奥田清治さんは、入札制度が改善されたことを報告し、「ダンピングを防止できる内容」と評価しました。
  小規模工事登録制度の問題では、仕事確保につながっていることが各地から報告されるとともに、制度を生かしていくことの重要性が強調されました。神奈川・高津宮前民商の白田武美さんは建築業者の協同化で仕事を伸ばしていると確信を持って語り、長野・上伊那民商の宮脇保さんは「NPO南信州木の会」の一員として県産材を使った住まいづくりの活動を紹介しました。
  公共工事にかかわって発注官庁にいた参加者は「構造改革でコスト削減が強要され、その姿勢は変わっていない。低入札では良い仕事はできない」と強調。独立して1年足らずの岐阜・各務原民商の脇之園勇気さんが「低単価の仕事を請けないという選択肢があるのか」と疑問を投げかけたことから議論になり、「経費が出ないような仕事は請けるべきでない」との意見も出されました。
  耐震改修の問題では静岡県建築安全推進室の早津和之主幹が県の制度を紹介。新協建設の萩原幸さんは持ち家・一戸建ての1000人にアンケートにとりくんだ結果について触れ、「安全な住まいに居住することへの保障を国や自治体に求める声が多い。行政と連携して耐震改修をすすめるためにNPOを立ち上げた」と発言しました。

事業継承と第2創業
経験と心構え報告

 事業継承の経験、継ぐ上で必要なことと心構えについて熱心に報告、交流しました。
  報告者の大阪・貝塚民商青年部の元林智英子さん=鉄骨建築=は父親を亡くしてから事業を継ぎ、従来の技術に独自の発想を加えて事業主として会社を運営している頑張りを語りました。
  兵庫・揖龍宍粟民商の三尾功さん=自動車整備=は売り上げを伸ばす経営努力を語り、「息子に事業を継がせたい。そのためには親が輝かないといけないし、事業への夢を持たないといけない。納得できる仕事もし、人間力を磨かないといけない」と親世代の考えを伝えました。
  座長報告で西野匡彦さん=木工製造=は「父と一緒にひな人形を作っています。仕事の7割は私がとってきます。異業種交流による情報交換は大切で、まったく違う業界から貪欲に情報を得るために常にアンテナを張っている」と語りました。

 
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