新基地つくらせない・“オール沖縄”で平和で豊かな島へ=沖縄県知事選挙
米軍の辺野古新基地建設反対を貫き、「平和で誇りある豊かな沖縄をつくるのかどうか」を最大の焦点とした沖縄知事選が10月30日告示(11月16日投票)されます。「保革の対立」を乗り越え「オール沖縄」で「新基地は絶対つくらせない」と立候補を表明した前那覇市長の翁長雄志(おなが・たけし)さんに、立候補の決意や、めざす県政の姿について聞きました。
対立乗り越え
―「保革」を乗り越えた「オール沖縄」の知事候補は戦後初めてのことですね
翁長 沖縄の選挙はこれまで、「保守と革新」の熾烈を極めたたたかいでした。一方では「理想で飯が食えるのか」。もう一方では「命を金で売るのか」といって争ってきました。自分たちが誘致したわけでもない米軍基地を挟んで、沖縄県民がいがみ合ってきたわけです。私は自民党に所属してきましたが、将来はこの対立を何とか乗り越えなければならないと、ずっと考えてきました。
07年の「教科書検定問題」で文部科学省は、沖縄戦で日本軍が集団自決を強制したという記述を削除し、修正しました。私たちのオジー、オバーがウソをつくことはありません。検定意見の撤回を求める県民大会には12万人近い県民が集まり、私も共同代表の一人として参加しました。
そのころからですね、「オール沖縄」に軸足を切り替えたのは。決定的になったのは、「建白書」に対する自民党県連や仲井真知事の背信行為です。
「建白書」掲げ
―「オール沖縄」の総意が結集した「建白書」ですね
翁長 そうです。昨年1月末、県内41の自治体すべての首長、議会議長、県議会議長、県議会各会派が、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念、オスプレイ配備反対を掲げ、「オール沖縄」の総意として安倍首相に直接手渡しました。しかし自民党本部の圧力によって、自民党の国会議員、自民党県連が「建白書」に背を向け、仲井真知事まで新基地建設につながる海岸埋め立てを承認したのです。県民の間にも失望と怒りが広がりました。
出馬を決めたのは、自民党を除名された那覇市議会新風会と日本共産党や沖縄社会大衆党など革新の方々が一緒になって、「知事選に出てくれ」といわれ、決断したわけです。
戦後、「銃剣とブルドーザー」による土地の強制接収によって米軍基地は造られましたが、県民の意思として新たな基地を造ることはありませんでした。埋め立て承認は県民の意思として新たな基地を認めることです。これは絶対に許すわけにはいかないのです。
0・6%の国土しかない沖縄に74%の米軍基地が置かれています。私が「イデオロギーよりも沖縄のアイデンティティー」と言っているのは、それぞれの政党がそれぞれの主張をしながらも、「建白書」の実現という点で、最後まで一緒になってたたかおう、ということです。これは沖縄が自立し、新しい沖縄を築く大きな一歩になると強く感じています。
歴史的な意義
―沖縄が一つになる。その歴史的な意義は大きいですね
翁長 そうです。沖縄のためということは日本のためだと思っています。それが民主主義国家としてのあるべき姿です。沖縄に基地が集中することを解消することは、県益であるとともに国益です。同時にそれは沖縄が自分の足で立ち上がり、21世紀を生きていくことではないでしょうか。
―出馬表明して1カ月近く。県民の反応はどうですか
翁長 祭りの会場や道端で「頑張ってください」と、体を揺するように、そして手を振るように力強く握手してくれます。これまで何度も選挙をしてきましたが、これほど一人ひとりの思いがこもった声援は初めてです。「県民が願っている結果を出してくれ」という熱い思いをひしひしと感じます。
圧倒的勝利で
―どんな県政をめざしますか
翁長 沖縄は結束しなければなりません。今年2月の那覇市議会の施政方針演説で、私は「基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因である」と書き込みました。県民も基地跡地を活用した那覇新都心や北谷町の発展を目のあたりにし、基地のない沖縄経済の発展に自信を持ってきています。
そういう意味でまず基地のない沖縄をつくることです。知事選に勝利してアメリカにも国連にもそのことを訴えていきたい。票差によっては世界が注目するでしょう。
辺野古に新基地ができなければ普天間基地を固定化するという議論もありますが、「世界一危険な基地」を固定化することは、世界にも通用しません。
沖縄は「守礼の国」として、小さいがゆえに戦争をしないできました。その伝統や文化、歴史を生かし、アジアの「平和の緩衝地帯」にしたい。
「基地依存経済」はもうすでに破綻しています。「平和の緩衝地帯」になれば、ソフトパワーを生かし観光や物流の拠点として大きな経済的な発展が展望できるでしょう。
新基地に反対する世論は8割を超えています。それにふさわしい圧倒的な勝利で、新しい沖縄の歴史を県民とともにつくり出したい、と考えています。
▼プロフィル
1950年生まれ。沖縄県真和志村(現那覇市)出身。85年から那覇市議、沖縄県議を経て、00年に那覇市長に当選。4期目。「教科書検定意見撤回を求める県民大会」(07年9月)、「オスプレイ配備反対県民大会」(12年9月)で共同代表。今年9月20日に開かれた「止めよう新基地建設! 9・20県民大行動」にも参加した。
安倍暴走政治に痛打 知事選勝利へ支援を
沖縄県連会長 仲本興真さん
沖縄県連と民商はオスプレイ撤去と普天間基地の閉鎖・撤去、辺野古への新基地建設に反対し、県民の先頭に立って奮闘している翁長雄志・前那覇市長を知事選で推薦し、その勝利のために全力で奮闘しています。
翁長雄志候補が明らかにした「知事選挙にのぞむ基本姿勢」では、中小業者振興とともに、「暮らしと経済を破壊するTPPと消費税増税に反対」し「憲法9条を守り、解釈改憲に反対」と明記されました。
今回の知事選挙は辺野古への新基地建設や消費税10%への増税など安倍暴走政治に痛打を与える全国的意義をもつたたかいです。全国からの支援を心から訴えるものです。
全国商工新聞(2014年10月13日付) |