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カードローンと不動産に傾斜 金融庁2017年金融レポート

マイナス金利政策で進む 金融機関の収益悪化
 金融庁は10月25日、「2017年金融レポート」を発表しました。金融行政の進捗評価・分析のために2015年より毎年発表されているもの。政府のマイナス金利政策の下で金融機関が収益を一段と悪化させており、「経営者保証ガイドライン」の発表から3年が経過するにもかかわらず金融機関が担保や保証に依存した旧来型の融資姿勢から抜け出せていないこと、貸金業まがいの「カードローン」や不動産融資に傾斜していること-などの実態が明らかになっています(図1、2)。

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 預金取扱金融機関の現状について、金融レポートは金利の低下が金融機関の資金利益を押し下げていると指摘。「今後においても、金融機関が保有する比較的高い金利の融資・債券が次第に低金利の融資・債券に置き換わり、資金利益の低下圧力が継続されることが予想される」とし、いかに持続可能なビジネスモデルを構築していくかが課題としています。
 地銀の経営状況について、2017年3月の決算で「過半数の地域銀行でマイナスとなっており、2015年度の推計・試算を上回るペース」で利益が減っていると述べます。
 貸出残高は増加傾向にあるものの、多くの地銀で「アパート・マンション向けや不動産向けの融資が増加」と指摘します。

担保や保証依存 旧来型抜け出せず
 また「経営者保証ガイドライン」の活用状況についても調査し、「担保により100%保全充足されている先の9割強から重ねて個人保証を徴求しており、担保及び個人保証を合わせた徴求金額は、融資残高の2倍になっている」などをあげ、ガイドラインの適用開始後3年余り経過しているにもかかわらず「活用は、まだ十分でない」と評します。
 同レポートの何よりの特徴は、利用者保護・法令順守の徹底から、現在、社会問題にもなっている「銀行カードローン」問題、「アパート・マンションローン」(アパマンローン)問題を取り上げていることです。
 カードローンについては、保証会社の審査に依存していることや、実際は高金利であるにもかかわらず「低金利で多額の借入が容易」であるかのような広告宣伝がされていること、さらに貸金業者と異なり総量規制の対象となっていないことを挙げ、今後「適切な業務運営を行っているか検証する」としています。
 また、「アパマンローン」についても実態把握を踏まえ、地銀が貸出を増やしている問題を指摘し「適切な業務運営の確保」を求めています。
 「アパマンローン等貸家業向け融資の規模等に応じて、必要なデータの蓄積や賃貸物件の収益シミュレーションの精緻化といった規律ある審査体制の構築、期中管理(融資実行後の賃貸物件の空室・賃料水準や収入状況等の把握等)の充実に努めるとともに、借り手に対するリスク説明を充実させる必要がある」と具体的な業務運営改善を求めています。

社会的責任実行へ 金融行政の転換を
 地方銀行が収益を悪化させている主要な原因は、言うまでもなく政府の異次元の金融緩和とマイナス金利政策にあります。
 その問題を棚上げにし、「マイナス金利という逆風を一過性のものと考える」甘さを批判し、「早期に持続可能なビジネスモデルの構築に向けた具体策を検討し、実践する必要」を強調するのは厚顔といわざるを得ないでしょう。
 そればかりか、欧米諸国と比べ、わが国が預金中心の資産形成となっており投資信託が少ないことを問題視し、投資教育や投資市場の活性化やリスク性資産形成を増やすことなど、いわばマネーゲームを煽っています。政府のアベノミクスの方針に基づくものとはいえ、金融行政を大きく誤らせるものとの批判は免れません。
 金融庁は、社会的に要請される分野への必要な資金供給、地域経済の発展と中小企業者の事業活動への必要資金の供給をはじめとする金融機関の社会的責任の明確化と、その実行への監督・指導を強めることが喫緊に求められます。政府・日銀の金融政策全体の見直しが迫られているといえます。

全国商工新聞(2017年11月13日付)
 
   

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