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トップページ > 金融のページ > 融資制度 > 全国商工新聞 第2870号 3月9日付

 
金融 融資制度
 

基調報告―とにかく借りて、仕事をつづけよう


融資獲得は業者の生き死ににかかわる問題

 景気悪化による売り上げ減少が一気に押し寄せ、多くの中小業者が「年度末を乗り越えられるか」と危機に直面しています。
 「商売を続ける」ことを含めて、融資獲得は中小業者の「生き死に」にかかわる緊急・切実な問題です。どう取り組むかは、民商の存在意義が問われる重要課題です。昨年10月31日にセーフティーネット保証が拡充・改善され、「緊急保証」制度が実施されました。それ以降、金融要求での入会が増えて、融資要求が入会者の5割を超えている県連もあります。
 全商連は「融資獲得アンケート」に取り組みました。全国の民商でかちとった融資実績は、昨年12月から今年1月末までに、件数で1992件、金額で106億円を超えています。「融資要求がない」という声もありますが、「要求がない」のではなく、「つかみきれていない」と考えるべきではないでしょうか。
 経済激動のなかで役員からは「民商にかかわる時間が取れない」、事務局員からは「融資獲得運動を取り組んだ経験がない」「困難な事案が多く、時間も労力もかかり、対応できない」という悩みも寄せられています。
 役員と事務局員がお互いに大変な中ですが、「寄せられた要求に正面から取り組む」民商をつくるためにも、切実な融資要求が渦巻く今こそ、役員・事務局員が「共同の運動の推進者」として、融資実現への運動と実務を学び合うことが大切です。融資獲得運動を切り開くチャンスととらえ、「運動しつつ学び、学びつつ運動する」立場で緊急に活動を強めたいと思います。
 この交流会は、まさに「集まって、話し合い、相談し、助け合って、営業と生活を守る」という民商・全商連運動の原点の実践と位置付けることができます。
 「税金滞納があり拒否された」「保証協会が保証しても銀行が融資しない」などの困難を克服してきた取り組みを出し合って、全国的な到達点を今後の融資獲得運動と組織拡大の力にしてください。

全国アンケートでわかったこと

「借りて商売続けよう」  全商連主催の「融資獲得緊急対策会議」後、「借りて商売を続けよう」と融資獲得運動が強められてきました。
 融資説明会、自治体、保証協会、金融機関などへの要請や懇談、融資制度の改善を求める運動を繰り広げ、ビラやニュースで会内外に知らせている民商では融資要求での相談・入会が増えており、融資獲得運動への姿勢が組織拡大でも明暗を分けています。
 全商連は「融資獲得アンケート」を行いました。これは、融資獲得運動をすべての組織が取り組む構えをつくるためです。アンケートに記入するためには、どんな融資相談が寄せられて、どう対応したか、申し込み金額や利用した制度名や、結果までつかむ必要があったと思います。
 このデータをもとに、どうすれば困難を突破できるか、どういう制度が必要なのかの分析を進めます。
 この間の融資獲得運動の特徴点を紹介します。

小口資金獲得に力を発揮
 一番の特徴は、融資実行額に表れています。保証協会全体の緊急保証平均は1月末現在で1件当たり2214万円です。全商連の現在の集約では、1件当たり約600万円です。これは民商が中小業者の切実な小口資金の獲得に力を発揮していることを裏付けています。銀行主導の融資ではなく、「本当に必要な人にこそ資金を」と民商が奮闘してきたことを確信にすることです。
 しかも会外からの相談者のうち、42・8%が民商に入会し、15・1%が商工新聞の読者になっています。この取り組みいかんで、組織的な前進につなげることができます。

知恵出し合い困難を突破
 確定申告の真っ最中で融資要求に応えるには、「集まって、話し合い、相談し、助け合って、営業と生活を守る」活動を強め、要求運動と組織建設を一体的に前進させることが不可欠です。また、そこが一番の悩みどころでもあります。だからこそ知恵を出し合うことが大切です。
 「融資事例検討会」や困難事案の解決へ民商の知恵を寄せ合う活動を始めた県連、「借りても返せない」ではなく、「とにかく借りて、仕事を続けよう」と論議して、融資への消極姿勢を払拭してきた民商・県連もあります。
 生活福祉資金の活用に挑戦した組織も生まれました。
 制度の改善では、融資期間10年の制度が広がりました(北海道など14道府県)。高知県では融資期間9年・据置2年(借り換えは12年・据置1年)、鳥取県は融資期間12年(銀行所定金利)、岩手県では15年返済・据置3年(金利は融資期間に応じて2・35%〜2・75%)の制度を実施。福岡県・市や宮城県では据置2年を実現しました。
 保証料や金利の補助制度も前進しています。奈良県では8市、栃木県では2市が保証料全額自治体負担。世田谷区の5年間金利負担ゼロに続き、鳥取市も融資期間中の金利負担ゼロの融資制度を創設しました。

今後の運動の重点は

税金だけでなく
 (1)「春の運動」中でも積極的に融資要求に応えることが重要です。「大量宣伝で融資制度や解決事例、実績を知らせる」商工新聞などを使い「学習会や相談会で一緒に学び、みんなで申し込み、交渉する」ことです。確定申告で集まる機会が増えます。思い切って「融資を受けて商売を続けよう」の呼びかけを強めましょう。

弱点の克服を
 (2)「借りても返せない」の克服が重要です。98年10月に実施された金融安定化特別保証制度は、「こういう場合には貸せない」というネガティブリストに該当する業者以外は全部融資の対象にするという制度でした。そのとき、「そんなことをしたらモラルハザードが起こる」と言われました。しかし、この制度によって、倒産が減少し、雇用の維持に役立った。しかも、国が想定した事故率を下回りました。まじめに返済しているのです。
 いま、「借りても返せない」と消極的にならずに、必要なときに、本当に困ったときに借りる。そのことが大切です。払えなくなったときには、条件変更や借り換えを含めて、さまざまな方法があるので、それはそれで解決する。「生きていくため」にも資金が必要です。「融資を受けることは中小業者の権利」「とにかく借りて仕事を続けよう」と訴え、広げることが重要です。
 金融機関こそ、行き詰まったときに税金で助けてもらっているのですから、事業所数の99・7%、従業者数の69・4%を占める中小業者にこそ、その社会的役割にふさわしい対応を堂々と求めましょう。

到達点を力に
 (3)全国の到達点を力に、各地で制度改善の運動を強めることが重要です。「すぐに返済するのはしんどい」場合もあります。せめて、「10年返済、3年据置、金利・保証料自治体もち、税金完納を要件とせず、借り換えを認める」制度の創設を引き続き、自治体に迫りましょう。

自治体交渉を
 (4)自治体によっては、税金滞納があれば申し込みをさせない、セーフティーネットの認定書すら出さないといった制裁行政を強めています。交渉もして「融資を実現することによって納税も進むように支援する」姿勢へと転換させる取り組みが必要です。

公庫など交渉
 (5)政策金融公庫や信用保証協会など、支店や支所によって対応が違うケースがあります。自らの都合を言う金融機関もあります。中小業者の立場で対応し、手続きを進めるよう、自治体、信用保証協会、政策金融公庫、金融機関との交渉・懇談を強めることも重要です。

生活福祉資金
 (6)生活福祉資金については、「年越し派遣村」の活動を通じて、世論が起こり、改善の機運が高まっているだけに、活用と制度改善にも力を入れる必要があります。

商工新聞使い
 「商工新聞を使って、交渉し、融資が実現した」例も報告されています。商工新聞を活用して拡大を進めましょう。拡大実績は、「どれだけの業者を救ったか」の実績でもあります。「仕事と資金をまわせ!消費税上げるな!」の大運動の前進と3月末増勢をめざし、すべての民商・県連が奮闘しましょう。
 
     
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