住宅ローン金利 私も下がった みんな下がった
「全国商工新聞」報道に大反響
各地の民商「電話1本で」と経験広げ
「電話1本で住宅ローン金利引き下げ」―。全国商工新聞の報道をきっかけに「私も下がった」との声が引き続き全国に広がっています。各地の民主商工会(民商)では金利引き下げの学習会や経験交流を開催し、「引き下げの輪」を広げています。
住宅ローン金利 返済月額13万円減=広島・三次
広島・三次民主商工会(民商)の宮田直さん=飲食=は先ごろ、住宅ローンの元金据え置きと金利引き下げを実現し、月々の返済額を約13万円減額することができました。民商の仲間とともに、粘り強く交渉した宮田さんから、喜びの手記が届いています。
私は月々15万円の住宅ローンを9年間払ってきましたが、子供の養育費が重なり、返済が重荷になっていました。民商に相談したところ「2年前、民商の仲間が住宅ローンの返済軽減をした経験がある」と聞き、ぜひ自分もやってみようと行動を起こしました。
8月初め、住宅ローンを組んだ三次農協へ電話をかけたところ、担当者は「上司と相談する」と返答。その後、連絡があり、相談シートを記入して、返済軽減と金利引き下げの検討を要望しました。
1カ月後、農協の担当者、広島県農業信用基金協会(協会)担当者と面談し「事業の売り上げが減少し、住宅ローンの負担が大きい。高校生の子どもの養育費もかかるので減額をしてほしい」と伝えましたが、協会担当者は相談シートを見ながら「高校は授業料がかからないのにこんなに下げる必要はない」と冷たい返答。「なぜ住宅ローンだけ下げるのか。事業資金のローンを見直してみたら」と言い、引き下げに応じたくない姿勢が伝わってきました。
実情を理解してくれない態度に怒りを感じ、2年前に住宅ローン返済軽減をかちとった高野博毅さん=紳士服仕立て=に相談。10月11日、高野さんと奥田賢治民商副会長とともに、協会と交渉し、冷たい対応への改善と返済軽減をあらためて訴えました。管理課長は「冷たい対応はしていないと思うが、そう思われないようにしていく」と回答しました。
この交渉から2週間後、農協から電話があり、元金据え置きと金利引き下げ(2・7%が0・9%へ)が実現。月々の返済を約2万円にすることが決まり、本当にうれしかったです。
民商の仲間には税金で困ったときにも助けられアドバイスをもらい、一緒に交渉もしてもらいました。自分一人ではできなかったし、大きな力に守られていると感じました。
月7,400円減 交渉で「粘り勝ち」=茨城・日立
茨城・日立民主商工会(民商)の和田美恵さん=美容=は、商工新聞を使って取引先のつくば銀行と粘り強く交渉し、住宅ローン金利を0.55%引き下げ、毎月の返済額が7,400円下がりました。「粘り勝ちよ」と笑顔です。
和田さんは2年前、つくば銀行からの借り入れで住宅を新築。固定金利2.1%で住宅ローンを組み、支払いを続けていました。
「私も住宅ローン金利が下がった」などの商工新聞記事を読んで、金利引き下げに挑戦することを決意。昨年11月、つくば銀行の担当者を店に呼んで商工新聞を見せ、「住宅ローン金利を下げてほしい」と要望しました。
ところが担当者は「3年間の固定金利を組んでいるので、途中変更はできない」と引き下げに応じようとはしません。そこで和田さんは「そんなことはない。全国でも金融円滑化法に基づいて要望したら下がっている。私も下げてほしい」と伝えました。
担当者は「本部と相談して回答します」と答えたものの、返事は1カ月以上もなく、和田さんは何度も回答を催促。その結果、担当者から「金利を下げます」と回答がありました。
その後も書類をそろえる手間などで4カ月以上かかったものの、2月にこれまでの金利2.1%が1.55%と0.55%下がり、月々の返済額も7,400円下がりました。
和田さんは「金利が下がることを知らない担当者もいる。その場合は支店長にいって担当者を代えてもらうことも必要。民商に相談しながら粘り強く交渉すれば金利は下がります」と話しています。
住宅ローン金利引下げ57件=京都・城陽久御山
「電話一本で住宅ローン金利引き下げ」―。金融円滑化法を活用した住宅ローン金利の引き下げ運動をリードしてきた京都・城陽久御山民主商工会(民商)は、この8カ月間の判明分だけで57件の引き下げを実現しました。相談は今も相次いでいます。
☆〈対応の基本〉
「ビラを見ました。住宅ローンの金利が下がるんですか」「下げるにはどうしたらいいですか」。連日のように城陽久御山民商事務所に電話がかかってきます。
対応の基本は、(1)まず取引先の金融機関に相談(2)引き下げ要望を伝える(3)断られた場合、その理由をはっきり聞いて民商に必ず相談をする(4)うまくいってもいかなくても結果を民商に伝える―の4点です。
☆〈広がる引き下げ運動〉
金利引き下げの実現が広がるなかで、民商会員自身も運動を広げています。
その一人がスナックを経営するTさん。店のトイレに、民商が作製した「金利引き下げビラ」を張って知らせています。お客さんの中にはビラをじっと見つめる人や、ビラを要望する人も。
製造業の会員は「いいことは従業員にも知らせよう」と、会社の掲示板にビラを張り出しています。
☆〈支店長を呼んでと伝えて〉
金利引き下げ経験もさまざまです。
支店長を呼び出して金利を引き下げた会員もいます。
この会員は「電話一本…」の話を聞いて、すぐに取引先の中央信用金庫を訪ね、受付で「住宅ローンの金利を下げてほしい」と話しました。「できません」との対応に「そんなことはない。支店長を呼んでくれ。相談に来たんだから話をちゃんと聞いてくれないと困る」と話
し、その場で金利が下がりました。
☆〈返済遅れの人も実現〉
返済期日が遅れた会員でも金利引き下げを実現しています。
最初は1人で金融機関に相談に行き、断られたものの民商の役員、事務局と一緒に銀行に相談し、実現したものです。
金融機関では遅れの回数や最近1、2年の返済状況、現在の商売の状況を説明。金融円滑化法では「弁済に支障を生じている」人も「負担の軽減に…努める」と明記していることを話し、住宅ローンの金利引き下げをかちとりました。
☆〈営業資金の借入金利引き下げも実現〉
住宅ローンだけでなく、営業資金の借入金利引き下げを実現した会員もいます。
建設業のBさんは昨年秋、民商に「営業資金のプロパー資金の金利が高い。住宅ローンのように下がらないか」と相談。一人で取引先の京都信用金庫に行き、金利引き下げを要望したところ今年1月、元金を一部返済(500万円)することで、借入残金の金利3.5%が、3%に下がりました。
さらにことし3月、住宅ローン金利に比べれば「まだ高い」として、今度は民商と一緒に京都信金と交渉。営業状況などを詳しく説明し、金利引き下げを要望しました。その結果、2.5%への引き下げを実現しています。
住宅ローン金利 私も下がった=事業資金も借換 金利2.9→1.5%
「金利が下がって良かった」と話す余語めぐみさん
愛知・名北民主商工会(民商)味鋺支部の余語龍也さん、めぐみさん夫妻=冷暖房工事=は先ごろ、岐阜信用金庫と交渉し、住宅ローン金利(固定)が2.25%から1.9%に下がり、月額返済も2500円の減額となりました。
余語さんは3年前、自宅を新築、10年の住宅ローンを組みました。「電話一本で住宅ローンの金利引き下げ」を知ったのは昨年12月のこと。民商会員の建設業者でつくる「ねこの手」(建築関係業者が協同して住宅建設、リフォームを請け負うネットワーク)の会議でした。
余語さんは数日後、岐阜信用金庫を訪れ、担当者に「全国でも愛知でもみんな金利を下げている。私の住宅ローン金利も下げてほしい」と、ストレートに要望しました。その日のうちに銀行から自宅に電話があり、「2.25%から1.9%に下げます」と金利が下がりました。
また、同信金からプロパー融資を受けていた運転資金(500万円)についても金利の引き下げを要望。担当者から制度融資による借り換えを勧められ、その結果、借入金利が2.9%から1.5%へと約半分に下がりました。
余語さんは「商工新聞のおかげで住宅ローンも借入金の金利も下がり二つの得をした」と大喜びです。
民商では「住宅ローンだけでなく、運転資金の借り換えもどんどん進めよう」と呼びかけています。
住宅ローン金利 私も下がった=返済月額5000円減 固定2.5%→2.0%
群馬・高崎民主商工会(民商)片岡支部の佐藤高治さん=ゴム製品加工=は昨年11月、商工新聞の住宅ローン金利引き下げの記事を読んで、取引先の高崎信用金庫と交渉。固定金利を0.5%下げることができました。
佐藤さんは01年に住宅を購入し、固定金利2.5%で30年ローンを組みました。同支店とは長年の取引関係もあり、佐藤さんは金融円滑化法ができる前から数度にわたり住宅ローン金利の引き下げを要求。しかし実現しませんでした。
そんな時に目にしたのが「電話一本で住宅ローン金利引き下げ」の商工新聞記事(10年9月20日号)でした。さっそく担当者に連絡し「金利を下げている人がいっぱいいる。私が下がらない理由はあるのか。長年取引もしてきたでしょう」と訴えました。
申し入れから1週間後、職員から「下げます」という回答が。その結果、残り20年の住宅ローンの金利は0.5%下がって2.0%になり、月々の返済額も7万5000円から7万円と、約5000円減額することができました。
佐藤さんは「中小業者は、何でも根気よく交渉しないとダメ。やっぱり商工新聞は役に立つ」と語っています。
「金利引き下げは今がチャンス」と話す岡田さん
総額740万円の減額=新潟・上越
瓦店を営む新潟・上越民商の岡田武司さんと娘婿の清さんは、商工新聞の「電話1本で住宅ローン金利引き下げ」記事(10年9月20日号)を活用し、金利を3.3%から2.2%へと1.1%引き下げ、返済総額で740万円の減額となりました。
日ごろから商工新聞を愛読している武司さんは「電話1本で…」の記事を見て、自分も下がるのではと取引先の八十二銀行を訪問。「新聞に住宅ローンが下がるという記事が載っていた。この不況下で商売も伸びないし、孫もたくさんいて学費や生活費もかかるので利息を下げてほしい」と正面から要望しました。
応対した所長は「自分にも3人の子どもがおり家計の大変さは理解できる。会社への貸付金との関係もあるので検討する」と約束。後日、「検討した結果、現在3.3%の利息(保険料分等の0.5%含む)を1.1%下げます」と回答がありました。
その結果、43回目の支払い分から約12万5000円の返済額が約10万8000円に減少し、返済総額は概算で約740万円減ることになりました。
武司さんは「みんなも、ダメ元でやってみればいい。こんなチャンスを逃す手はない。東京の甥っ子にも教えました」と喜びを語っています。
「商工新聞の力はすごい」と話す西谷さん
「商工新聞はすごい」=静岡・清水
静岡市清水区で年金生活をしている商工新聞読者の西谷さんは昨年11月、商工新聞の記事「電話1本で住宅ローン金利引き下げ」を読み、交渉してみようと決意しました。取引先のスルガ銀行清水支店のホームページでローン金利が下がっていることを確認した上で、銀行を訪れました。
応対した若い銀行員に商工新聞を見せ、「他の銀行では金利を下げている。スルガ銀行でも下げてほしい」と交渉。行員は新聞を見て「こういう新聞があるんですね。初めて見ました」と言いながら「上司と相談させてください。後日ご連絡します」と回答しました。
その4日後、「現行の金利2.475%を1.6%にさせていただきますがよろしいでしょうか」との回答。その結果、2.475%だった金利が0.875%下がって1.6%となり、毎月の返済額も2351円の減額となりました。
西谷さんは「いつも商工新聞を読んでいるけど、商工新聞の力はすごい」と改めて感心していました。
住宅ローン金利下がった 長年の返済実績を訴えて
熊本・宇城民主商工会(民商)の桜場正明・澄江さん夫妻=電気計装工事=はこのほど、取引先の肥後銀行と粘り強く交渉、支店長決済による金利引き下げをかちとりました。その結果、変動金利2.625%から固定金利1.8%へ0.825%の引き下げを実現、毎月の返済額も2000円下がりました。
桜場さんはローン完済まであと3年半。それでも商工新聞に毎週掲載されている「住宅ローンの金利引き下げ」記事を読み自ら銀行に電話、金利引き下げ交渉を行いました。
当初、担当者は「キャンペーン中なので1.375%になります」と返事をしたものの、なかなか回答がなく、催促の電話をすると「1.375%は新規の借り換えの金利で、継続中の桜場さんの場合、下げても2.3%で、毎月の返済額も1000円しか減らない」と言われました。
納得できなかった桜場さんは銀行を訪問。「長年頑張って返済してきた者より新規のお客の方が大事なんですか」とただし、再度検討を約束しました。
その後、桜場さんは商工新聞を持って改めて担当者と交渉。「業者は今が一番苦しい。頑張って返済してきたから残高が少なくなっているが、1000円でも出費を減らすように節約している。このままでは、返済できなくなる」と訴えました。
その結果、担当者が「支店長決裁であと0.1%下げます」と返事。約3週間にわたる銀行との交渉の結果、変動金利2.625%から固定1.8%へ0.825%の引き下げを実現しました。
住宅ローン金利下がった 「100万円以上減にびっくり」
「住宅ローン下がったよ」と喜ぶ山本美幸さんとその家族
新潟民主商工会(民商)の会員である有限会社山本鋼業の山本忠光社長=建設=はこのほど、長女の美幸さんと一緒に、取引先の北陸銀行と交渉し、3%だった固定金利を2%に引き下げ、月の返済額は1万3000円下がりました。
山本さん宅は、山本社長と美幸さんの夫が共同で35年ローンを組んでいます。1年目が金利1%、2年目は2%で、3年目から10年目まで固定金利で3%の契約。月々の返済額は約11万円に上っていました。
金利引き下げのきっかけは「電話1本で住宅ローン金利引き下げ」の本紙(9月20日号)の記事でした。読んだ直後、美幸さんは思わず民商事務所に「本当なんですか」と電話。応対した事務局員が「本当です。取引先の銀行に行ってみて」とアドバイス。
数日後、美幸さんは一人で銀行を訪問。商工新聞を持参し、銀行員に商工新聞の記事を見せながら、「金利を引き下げてください」と要望しました。
その場では「検討します」と答えた銀行員ですが、数日後「固定金利を1%下げます」と回答。銀行員の要望もあって、クレジットカードの契約などをしたものの、それまで土地と建物のローンが別々に組まれていたため、それぞれ請求されていた更新手数料も更新時期を一緒にすることで、2万1000円から1万円余と半分になりました。
山本さん親子は「支払い総額も100万円以上の減額。もうびっくりだし、うれしい」と話しています。
住宅ローン金利下がった 「とにかく行動に移すこと」
「もう一押しが大事よ」と話す山本さん夫妻
もっと下げてともう一押し
「いつも商工新聞をよく読んでいる」と話す静岡・沼津民主商工会(民商)の山本明夫・冴さん夫妻=卸売。商工新聞(9月20日号)の「電話1本で住宅ローン金利引き下げ」を読んだ翌日、取引先の清水銀行に電話、現行の変動2.475%から変動1.775%へと0.7%の引き下げを実現しました。
山本さん夫妻は、商工新聞で紹介した“金利引き下げ手順”に従い、銀行の担当者に「住宅ローンの金利を下げてもらえるって聞いたんですけど」と切り出しました。
応対した担当者は「山本さんまで(金利を下げてと)おっしゃるようになりましたか」と驚いた様子。その場で「0.5%下げます」との回答が返ってきました。
しかし山本さん夫妻は「もっと下がらないか」ともう一押し。商工新聞に紹介されていた事例は、もっと金利が下がっていたためです。すると担当者は、その日のうちに山本さん宅を訪問。「最低でも1.8%に下げてほしい」との要望に「即答はできません」「本部に連絡します」と説明しました。2週間後、銀行から「0.7%下げます」と回答。金利が下がったことで、毎月の返済額も減額になりました。
山本さん夫妻は「とにかく行動に移すこと。それともう一押しが大事よ」と笑顔で話しています。
「こんなに簡単に下がるとは」
兄弟や親せきにも知らせる
大分民主商工会(民商)の木村鉄男さん=建築塗装=は取引先の豊和銀行と交渉し、住宅ローンを変動型から固定型(5年)に変更、金利を2・925%から1・5%に引き下げ、毎月の返済額も8000円の減額となりました。
木村さんは商工新聞の「電話1本で住宅ローン金利引き下げ」の記事(9月20日号)は知っていたものの、「大分では難しい」と思っていました。しかし9月27日、大分を訪れた全商連の全国キャラバン隊から「住宅ローン金利引き下げの記事は事実。銀行に話してください」とアドバイスをもらい、さっそく翌朝9時、「住宅ローン金利の引き下げをしてほしい」と取引銀行に電話しました。
応対した部長代理は「上司と相談して連絡します」と回答。その日の午後3時に「金利の引き下げを行います。金利は現行2.925%ですが、1.5%に下げます。書類作成の準備ができたらまた連絡します」と連絡が入りました。
木村さんは10月4日、印鑑証明と実印を持って連帯保証人の奥さんと本店に出向き書類を作成。費用は手数料5250円と印紙代200円の計5450円ですみました。
木村さんは「こんなに簡単に金利が下がるとは思わなかった。本当にうれしいし、ビックリ。いいことはどんどん広めていかないとと思い、兄弟や親せきなどにも知らせている」と話しています。
大分民商では木村さんの経験をニュースなどで紹介。銀行に金利引き下げを求める会員が相次いでいます。
「住宅ローンも金利が下がってよかった」と話す斉藤さん(右)
その場で1万円超=愛知・尾張
愛知・尾張東部民商の斉藤誠さん=機械工具販売=は、取引先の銀行に「電話1本で住宅ローン金利引き下げ」と報じた全国商工新聞(9月20日号)を持ち込み、金利を下げることができました。
斉藤さんは01年1月に中古住宅を3100万円で購入。2年固定、2・2%の金利で住宅ローンを支払っていました。
そこに飛び込んできたのが「電話1本…」の記事。さっそく持参して取引先の名古屋銀行を訪問。控えめに商工新聞を見せながら「うちの場合も何とかならないのでしょうか」と切り出すと、応対した行員は少し考えて金利を調べた末に「2年固定で1・6%にできます」との返事。手数料は1万5000円余かかるといわれましたが、毎月の返済額は1万1500円の減額になりました。
斉藤さんは「打診のつもりで行ったのにその場で金利が下がるとは驚きでした。不況だから大助かり。さっそく友達にも伝えたい」と話しています。
月8000円減額=福岡
中華料理店を夫とともに切り盛りしている福岡民商の出雲冨士子さんは、商工新聞(9月20日号)を見てさっそく住宅ローンを組んでいる福岡中央銀行に電話。商工新聞の記事も紹介し「金利を下げてほしい」と交渉しました。
出雲さんの住宅ローンは、現在5年固定で3・1%。電話してから数日後、銀行員が自宅まで訪れて「金利は1・1%下げ、2%にするが、その代わりにクレジットカードを作ってほしい」と言いました。
かつて銀行と交渉して金利を下げてもらった経験がある出雲さんは「カードを作るから金利をもっと下げてくれませんか」と再度要請しました。
10月4日に銀行から連絡があり、決済された金利は2%のままでしたが、1%以上も金利が下がり、毎月の支払いは8000円減額になることを考え、納得。手数料5250円を支払い、10月のローン支払い分から金利が下がることになりました。
出雲さんから話を聞いた福岡民商の宇治田隆之事務局長も住宅ローンを5年固定で組んでいる西日本シティ銀行に電話で交渉しました。
はじめは「借り換えでないと金利は下げられない」と拒んでいましたが、「福岡中央銀行は1%以上下げた」と具体例を出すと、担当者は「稟議を上げてみる」と変化。決済はまだですが、現在2・75%の金利が1%程度引き下げの方向で話が進んでいます。
商工新聞活用し住宅ローン金利引き下げ実現
「電話1本で住宅ローン金利が引き下がった」―。本紙(9月20日号)に紹介した住宅ローンの金利引き下げの記事に、大きな反響が寄せられています。全国各地の民主商工会(民商)で金利引き下げを実現。さらに金融円滑化法に基づいて、返済猶予も実現しています。
金利を下げさせた田中さん夫婦と坪井副支部長(左)
月8,900円減額できた=大阪・八尾
2.475⇒1.175%
大阪・八尾民商竜華支部の田中浩司さん=洋菓子店=は住宅ローン金利が2.475%から1.175%に下がりました。「毎月の金利返済が8900円減額された。商工新聞に書いてあるとおりに言っただけなのに。民商に入っていて良かったわ」と家族は大喜びです。
日ごろから商工新聞をよく読んでいる田中さん。「電話一本で住宅ローン金利を下げた」という記事を読み、妻が「どんなものか」と銀行に電話して「金利を下げてほしい」と要望しました。後日「1回銀行に来てほしい」と連絡があり、出向いたところ、「下げます」との返事がありました。
その話を聞いた坪井新吉副支部長=仏壇製造=は「こんなに喜んでもらったのは初めて。運動していて良かった」と話します。田中さんが経営する「菓子工房ツインズパパ」は坪井副支部長がコーヒーをよく飲みに行っている店。1年ほど前、税金の問題で困っていたところ、坪井さんに相談して解決し、それをきっかけに入会しました。
田中さんの行動に励まされた坪井さんは、自分の娘にも金利引き下げを勧めました。「うちの金利は1.675%ほどで金利安いし…」と言っていましたが、しばらくしてから「金利が1・475%に下がり、月2000円下がった」とうれしい知らせが届きました。「商工新聞は役立つ新聞。どんどん勧めたい」と話しています。
全国商工新聞記事通りわずか10日で=愛知・瀬戸尾張旭
3.85⇒1.95%
愛知・瀬戸尾張旭民商副会長の江尻信之さん=不動産賃貸=は、住宅ローンの金利引き下げを伝えた商工新聞を片手に金融機関と交渉。金利を3.85%から1.95%へと1・9%下げさせ、毎月の返済額が8700円減額となりました。
江尻さんは20年前に自宅を購入。現在の利息は3.85%。毎月の返済額は10万8000円を超え、日常生活に大きな負担でした。そこに飛び込んできたのが「電話一本で住宅ローン金利引き下げ」の商工新聞の記事でした。
江尻さんはこの商工新聞と、他の銀行の借り換えの資料を持って、取引先の瀬戸信用金庫品野支店にさっそく足を運びました。
信金の窓口では単刀直入に「住宅ローンの金利を下げてほしい」と要望しました。
担当者は難色を示すどころか、「金利引き下げの相談に来ていただいて有難い」と話したうえ、「今、銀行はおまとめローンなどで、住宅ローンのお客さまが他の銀行に突然移ってしまうのがとても怖い。相談に応じるようにしています」と応対。「江尻さんの希望は」と聞かれ、「金利は2%以下、毎月の返済額を1万円ほど少なくしてほしい」と要望しました。
また、商工新聞を見せると「とても興味深い、参考にさせていただきます」との答えが返ってきました。
10日後、信金から3.85%から1.95%に金利を引き下げるとの連絡が入り、毎月の返済額は9万9千円余となりました。
引き下げを実現した江尻さんは「今は銀行が話に乗る時期。どんどん交渉することです」と語っています。
返済猶予を実現させた玉川民商の金坂さんと母親の明子さん
「円滑化法」を活用、23人が実現=東京・玉川
東京・玉川民商の金坂光久さん=弁当販売=は9月28日、金融機関から「3年間は毎月5万円を減額」との回答を得ました。「最初は半信半疑でしたが、金融円滑化法や民商の力をあらためて感じた」と話しています。
6年前に住宅ローンを借り入れた金坂さん。売り上げの減少や、子どもたちの教育費などが大きな負担となり、生活を切りつめて返済をしてきましたが、「もう限界」と7月14日に返済猶予を申し入れました。
当初、金融機関は「大学の授業料の明細書や、母親の年金証明書を持ってこないと申請を受け付けない」と冷たい態度でした。民商の仲間とともに、金融円滑化法などについて学び、粘り強く交渉したところ、2カ月後、金融機関は「子どもさんが大学を卒業するまで待ちましょう」と対応が変化し、返済猶予が実現しました。
また、佐々木賢三さん=建材=は、商工新聞1面の記事に励まされ9月29日、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)に金利の引き下げを要望。「7%から5%まで引き下げる」との回答を得ています。佐々木さんは「それでもまだ高い」と引き続き交渉しています。
玉川民商では金融円滑化法が昨年12月に施行されてから、各支部で地域内の20の金融機関に申し入れ、返済猶予や金利引き下げに応じるように要望。これまでに23人が要求を実現しています。
中小企業支援訴え10月から=東京・浅草
2.475⇒1.075%
東京・浅草民商の小池秀雄さんは、取引銀行と粘り強く交渉。2.475%から1.075%への引き下げを実現しました。
◇ ◇
埼玉県三郷市内でハンドバッグと靴の製造・販売をしています。1988年に自宅隣の土地を埼玉りそな銀行三郷支店のすすめもあり、30年の住宅ローンを組んで購入しました。
9月27日、三郷支店に電話し住宅ローンの金利引き下げを求めたところ「越谷支店にある統括部門に移されている」というので、同部門に連絡しました。その後、同支店の統括責任者から「住宅ローンは円滑化法の適用になりません」という電話が。改めて、金融円滑化法の説明をするとともに「住宅ローンの金利引き下げはどこでもやっている。なぜ埼玉りそなは、できないのか。おかしい」と話すと、「検討し、電話する」と応えました。
翌日、三郷支店から電話がありました。訪れた銀行員が「法人決算書を見せてください」というので、「ローン金利を引き下げる条件ではないはず」というと、話を持ち帰ることになりました。その後、私から三郷支店に出向きました。
銀行で「10年前に借り入れを申し込んだが断られ、仕方なく、他の金融機関から借り入れをした。この間、あなた方は、地元の中小業者である私どもに支援したことがあるのか」と思いの丈を話し、「現在、金利2.475%で借りているが、ホームページには最大限1.4%下げると書いている。だから1.075%にしてくれ」と申し入れました。応対した銀行員は「少し時間を下さい。支店では決められない」となりました。
10月6日に、銀行の担当者から電話で「申し入れ通りに金利を引き下げます」と連絡が入り、10月から適用されることになりました。(手記)
▼金融円滑化法とは
09年12月制定。中小企業や、住宅ローンを返せなくなった個人を救済するため、借り手から申請を受けた金融機関は、できる限り返済条件の見直しに応じるよう努めなければならないというもの。
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