台風で菊畑全滅 落胆する仲間に苗3万株=沖縄
沖縄本島の北部沖に位置する伊江島は、電照菊の盛んな地域です。この地で菊栽培を営む名護民主商工会(民商)の会員夫婦は、島を襲った大型台風で菊畑が全滅する被害を受けました。一時は出荷をあきらめかけましたが、民商の仲間から3万株の苗の提供があり、菊栽培を再開することができました。
夜11時、一斉に電球に明かりがともり、辺りには幻想的な光景が広がる「電照菊」畑(名護市内で撮影)
昨年9月に沖縄本島を連続して直撃した台風16、17号。激しい風雨は畑のビニールハウスを全壊させ、出荷を予定していた500坪分の菊がほぼ全滅しました。「何もなくなってしまった。ここまで育てた手間や肥料など、みんな飛んでいってしまった」と肩を落としていました。
民商は緊急の台風被害実態調査を実施。島の会員約30人から回答が寄せられ、被害の深刻さが明らかになりました。
そんな中、民商事務局に「伊江島の被害が特に大きいようだが、少しなら菊の苗を提供できる。被害が最も大きくて困っている人を紹介してもらえないか」との連絡が入りました。申し出たのは今帰仁村で菊栽培を営む会員。県連共済会の副理事長も務めています。
「本当に菊の苗があるの。今帰仁村の人がどうして私たちに」と妻は驚きました。困っている民商会員がいるなら少しでも力になりたいと苗の提供を申し出てくれたことを聞き、あきらめかけていた栽培・出荷への意欲がわきました。
10月20日に苗3万株の受け渡しが行われました。「これからどうしていこうか悩んでいたときにこの話をもらい、またやる気がわいてきた。本当に助かりました」と妻が感謝の気持ちを伝えると「自分のところも被害はあったが、困ったときはお互いさまだから」と笑顔で応えました。
今帰仁村の会員は11月19日、伊江島の菊畑を訪れ、夫婦と再会。10センチほどに育った白菊を前に夫は「ことしの出荷はあきらめようと考えたけど、本当に助かった。おかげでスクスクと育っているよ」と話します。「福島の農家の人たちのことを考えれば、台風くらいで負けていられないよ」と話す妻に、「本当にそうだ」と応えました。
「仲間同士の助け合いができるのが民商のいいところ。民商共済会も助け合いだよ。みんなが入って良かったと思える民商をもっと広げたいね」民商運動への熱い思いがあふれました。
全国商工新聞(2013年1月14日付) |