FC本部の中途解約違約金請求は「合理的理由に乏しく」「公序良俗に反し、無効と解するのが相当」と埼玉地方裁判所(豊田建夫裁判長)が、画期的な判決(2月14日)を下していた問題で、サークルKサンクス本部は控訴を断念、2週間後に判決が確定しました。FC契約の多くは、加盟店の都合で契約期間内に「解約」すると、加盟店が「中途解約違約金」を支払うことを義務づけています。コンビニの場合、違約金は数百万円に上り、これが足かせとなって、赤字であっても「やめるにやめられない」と問題になっていました。
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東京都内にあるサークルKサンクス(写真と記事は関係ありません) |
営業する自由は
最も重要な人権
判決では、解約金について述べるにあたり「営業の自由や経済活動の自由(一定の継続的取引関係からの離脱を含む)は最も重要な基本的人権の一つであって、これに対する制限は、社会的良識や正常な商慣習に照らし合理的に必要な範囲に留めなければならない」と指摘。
契約期間10年分のロイヤルティーを得なければ、回収できないということは到底考えられないとしています。
同時に「ロイヤルティーは店舗の黒字赤字を問わず恒常的に発生することが予定されているのに対し、加盟店側は損失が生じている場合はその負担をしなければならず、本件加盟店契約は、全体として本部の側に極めて有利に設定されている」と主張。その上で解約に際し、「開店後5年以上も経過しているのに、なお3カ月ないし4カ月分ものロイヤルティーを支払わなければならないとするのは合理的理由に乏しく、当該解約金の約定は、契約関係の終了を困難なものとし、継続的取引関係の継続を相当程度強制するもの」と明確に述べています。
さらに「少なくとも開店後5年経過後の中途解約の申し出について、ロイヤルティーの3カ月ないし4カ月分の解約金の支払義務を定めた部分は、公序良俗に反し、無効と解するのが相当である」と明快にのべ、本部側の中途解約違約金請求を退けました。
競合店が相次ぎ経営不振に陥り
訴えていたのはサークルKサンクスのエリア本部。本部と10年間のFC契約を結び、5年余りコンビ二経営をしていた元加盟店Nさんに対しての請求です。
Nさんは開店間もなく500メートルの商圏内に競合店が相次いで出店したため経営不振に陥り、たびたび本部に経営の向上について相談をしていました。ところが改善の決め手もない上、本部の会計ミスなどから信頼感がゆらぎ、経営を断念。契約書に記してある通りの期間に、解約通知を出して契約を解除し、同店は本部の直営店になりました。
ところが数カ月後、突然本部から訴状が送られてきました。訴状は「中途解約違約金の626万円を払え」というもの。納得できないNさんは、全国FC加盟店協会の資料も活用して反論していたものです。
本部の中途解約金についての契約は、やむを得ないと認められる特別な事情の場合、開店5年を経過しないうちは、過去12カ月の実績に基づいて支払われたチャージの平均月額の6カ月分相当額。5年を経過した以後は同3カ月分。やむを得ないと認められない場合、5年を経過しないうちは同8カ月相当額。5年を経過した場合は同4カ月相当額となっています。
植田忠義・全国FC加盟店協会事務局長の話
中途解約違約金は「営業の自由」(「営業しない自由を含む」)を侵害するものという判決は画期的です。私たちは、かねてから中途解約違約金条項の撤廃を主張してきました。この判決を機に、すべてのFC契約の是正を求める運動を強めたいと思います。
中企庁「改善を検討」共産党の質問で
日本共産党の塩川鉄也衆院議員は6日、衆院経済産業委員会でフランチャイズ事業での本部と加盟店のトラブルについて質問。埼玉地裁の判決を紹介し、「本来、経営不振による中途解約には違約金は請求しないと契約書に明記させるべきもの。経営不振の場合の違約金はやめさせるべきだ」と実態を調査するよう求めました。石毛博行中小企業庁長官は「今後の調査の中で、指摘の点も含めて改善すべきところは改善していく。よく検討させていただく」と答えました。
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