全国商工新聞 第3394号2020年1月20日付
安倍政権は12月20日、2020年度の税制改正大綱を閣議決定しました。国民・中小業者には消費税10%への増税を押し付けながら、「法人税減税 巨大企業に恩恵集中」(「東京」)、「企業支援に力点」(「毎日」)と報じられているように、大企業が利用する投資促進税制の拡大などが際立っています。昨年、国会で消費税問題を追及した大門実紀史参院議員(共産)に税制改正大綱の内容と併せて、消費税5%減税へのたたかいの展望について聞きました。
昨年10月に消費税を増税してから外需の低迷も加わり景気が落ち込んでいます。安倍政権は来年度予算案を発表しましたが、消費税増税で落ち込んだ家計を応援するどころか、社会保障予算の自然増を1200億円も圧縮しました。国民にとって、増税と社会保障改悪のまさにダブルパンチです。
予算案と同時に閣議決定された税制改正大綱の目玉は、特定分野のベンチャー企業に企業が投資した場合に法人税を減税する「オープンイノベーション税制」と、次世代通信規格「5G」投資に対する税制優遇です。自公両党はこれらの優遇税制を「内部留保を投資に回させるための」税制だとしています。しかし400兆円を超える巨額の内部留保は、主に労働者の賃金を低く抑えてきたことによってため込まれたものです。
政府がなすべきことは、中小企業への手厚い支援とセットにした最低賃金の大幅引き上げによって、内部留保を賃金に回させることです。投資減税だけでは内部留保は賃金に回らず、大企業優遇税制が拡大されるだけです。
もともと消費税が導入された目的は直間比率の見直しでした。法人税減税と所得税の累進制の緩和を進め、その代替財源として消費税を導入するというものです。当時の経団連が強く要求しました。
実際、この31年間を振り返ると、消費税は社会保障の充実にも財政再建にも使われず、直間比率の見直し(約8対2から、現在の約2対1へ)だけが実現しました。ひたすら経団連の要求を実行してきたことになります。消費税は、この先いくら増税しても、大企業や富裕層優遇の穴埋めに消えていくだけです。
いま必要なことは、消費税を緊急に5%に戻し、消費を回復させ経済の好循環をつくることです。わが党は昨年10月1日にアピールを発表し、消費税廃止をめざしつつ、緊急に5%へ減税することを各野党に呼び掛けました。
れいわ新選組は、すでに消費税廃止と緊急に5%へ戻せと訴えています。また昨年12月9日、立憲民主党、国民民主党、社会保障を立て直す国民会議、社会民主党の有志の国会議員54人が「消費税の引き下げ」を含む「提言」をまとめ、それぞれの党代表に提出しました。
消費税の5%への減税が野党の共通政策になるように引き続き全力を尽くします。中小業者の皆さんも「消費税5%減税」の声を全国で大きく広げていただき、一緒に力を合わせて、必ず5%減税を実現させましょう。