全国商工新聞 第3394号2020年1月20日付
3・13重税反対全国統一行動は、重い税負担と過酷な徴収に反対し、納めるべき税額は自分で計算し、申告するという申告納税制度の擁護・発展をめざす国民の一大行動です。1970年から開催し、税制・税務行政の民主化や納税者の権利確立を求めて集会・デモなどを実施してきました。51回目を迎える2020年は、3月13日(金)を全国統一行動日として行います。
安倍自公政権は消費税率10%への引き上げを強行しました。各業界に深刻な影響が広がる中、レジ導入の負担や資金繰りの悪化などを理由に廃業・倒産に追い込まれる例が後を絶ちません。税制で地域社会が崩壊させられようとしています。重い税負担とともに、複数税率の導入やポイント還元に代表される「景気対策」が混乱に拍車をかけています。税率ごとに区分する経理など事務負担が増え、労働環境が悪化しています。確定申告書の様式が大きく変わり、納税者に過重な負担が押し付けられています。税の三原則である「公平・中立・簡素」からも逸脱した制度は即刻廃止すべきです。さらに2023年には、インボイス(適格請求書等)制度の実施が決められており課税・免税を問わず、すべての事業者に悪影響を及ぼす危険性が指摘されています。もともと消費税は低所得者ほど負担が重くなる逆進性を持つ税制度です。社会保障切り捨てを推し進める安倍政治の下で「社会保障の財源」という言い訳は通用しません。国の財政も悪化の一途です。消費税は存在自体が許されない悪税です。
税務行政では、行政指導による文書で呼び出して税務調査に移行する「呼び出し調査」や客を装って状況を調べる「おとり調査」といった違法、不当な調査手法が横行しています。「事前通知」の規定をないがしろにして、効率よく調査件数の増加を図ろうとするなど、適正手続きが踏みにじられています。地方税では生活必需品まで差し押さえるなど、強権的な徴収行政が続いています。
国税庁は引き続き確定申告書提出時のマイナンバー記載を求めるとしており、申告の際に記載を強要することが予想されます。国は共通番号制度により、課税と徴税の強化と利用拡大をめざしています。個人番号制度はプライバシーや財産権を侵害する憲法違反の制度であり、即刻運用を中止すべきです。
安倍政権発足後、軍事費は8年連続で増え、過去最大の5兆3133億円に上ります。最新ステルス戦闘機やイージスアショアなどの高額兵器購入や護衛艦「いずも」の空母化改修、訓練用地の買収など米国追従が強まっています。一方、医療や介護、年金など社会保障は改悪の連続であり、消費税増税とともに国民に重く負担がのしかかっています。
改憲を強引に進めようとする安倍政権の狙いは、自衛隊を米国言いなりに派遣する「戦争する国づくり」に他なりません。大軍拡、大増税、社会保障切り捨ての誤った政策から、民意を最優先にした憲法を生かす政治への転換が今こそ求められます。
これ以上、ウソとごまかしだらけの安倍暴走政治を許すわけにはいきません。「桜を見る会」は安倍政権による国政私物化の最たるものです。立憲野党の追及を逃れ、説明責任も果たさぬまま幕引きは許されません。
市民と野党の共闘は結束力を増しています。日米FTAをはじめ自由貿易協定を推し進め、日本の経済主権を売り渡し、農畜産業に大打撃を与える政府に「美しい国」を守ることはできません。財界の意のままに労働環境がゆがめられ、格差と貧困が広がっています。大企業がため込む内部留保の還元と中小業者支援で、すべての労働者の賃金を大幅に引き上げ、消費税率を5%に引き下げることこそ景気を回復する最良の道です。
東日本大震災から9年目を迎えます。原発被害の完全賠償と賠償金非課税を実現させるとともに、多発する大規模災害からの復旧・復興と被災者支援の抜本的な強化が求められています。
憲法が要請する「生活費非課税」や「応能負担」を税制に貫き、「所得再分配」機能の回復・強化など、あるべき税制の確立が急務です。大企業・富裕層を優遇している不公平な税制をただし、税金の集め方、使い方を改めれば、消費税に頼らなくても社会保障の財源を確保することができます。
第51回3・13重税反対全国統一行動は、被災地復興とともに、平和で安心して生活できる社会をつくることが国民的な要求となる中で開催されます。
私たちは、消費税率の引き下げ、改憲阻止、戦争法・マイナンバー廃止、不当な税務行政の是正、納税者の権利の擁護・発展をめざす2020年春の一大結節点となる行動として過去最大の参加をめざします。
このような趣旨に賛同していただき、全国各地の実行委員会への参加を広げ、運動を前進させることを心から呼び掛けるものです。
一致する要求で共同を大きく広げ、払いきれない税金の納税を猶予する申請も集団で行うなど、生活と営業を守る運動の前進に力を合わせましょう。