2019年10月1日
全国商工団体連合会
会長 太田 義郎
安倍自公政権は本日、消費税率10%への引き上げと複数税率の実施を強行した。実質賃金が減り、景気後退が続く下での暴挙に満身の怒りを込めて抗議する。
国民が振り絞る「増税中止」の声も、「国会を開け」という野党の要求も無視するなど、民主主義を踏みにじる暴走政治を許すわけにはいかない。
消費税増税と複数税率の実施が商売継続の意欲を奪い、10月を前に「10%廃業」というべき事態を広げている。被災地復興の足かせになることは言うまでもなく、今回の増税がこれまでと比べ、「けた違い」の悪影響を及ぼすことは明らかである。
そもそも、景気が悪化する中での消費税増税はかつてない。税率引き上げが、消費を冷え込ませ、景気悪化を招くことは歴史が証明している。政府は、この愚行を深く反省し、消費税の廃止や税率引き下げで景気回復を進めている他国の実践に学ぶべきである。
複数税率を「負担軽減策」と偽る政府の説明も許しがたい。一部の商品を8%に据え置くだけで実質的な負担軽減にならないばかりか、消費者と事業者に大混乱をもたらす天下の愚策に他ならない。
適格請求書等保存方式(インボイス制度)への移行が盛り込まれていることも重大である。インボイスを発行できない500万もの免税業者は取引排除の危険にさらされ、やむなく課税業者になれば財務省試算で1事業所当たり15万円超の消費税が押し付けられる。中小業者への過酷な税負担や実務負担に配慮した免税点制度の実質的な廃止によって、中小業者は根絶やしにされかねない。
新たな税収を帳消しにする大盤振る舞いの「景気対策」も大問題である。キャッシュレス決済へのポイント還元や減税策は、クレジットやIT業界など一部の大企業と富裕層に多大な恩恵を与え、格差拡大に拍車をかけるものである。幼保無償化や大学授業料の負担軽減は、支援すべき庶民からもむしり取る消費税ではなく、大企業や富裕層への応分の負担によって賄うべきである。
消費税が導入されて30年が経過した。この間、社会保障費が抑制される一方で、大企業の法人税負担率は減り続け、中小法人よりも軽くなっている。トヨタ自動車など名だたる輸出大企業が1円も消費税を納めず、巨額の還付金を懐に入れるという不合理は正されず、中小業者は赤字でも消費税の申告・納付を迫られ苦しめられ続けている。所得の少ない人ほど負担が重いという逆進性は、消費税が廃止されるまで解消できない欠陥である。この天下の悪税の税率引き上げなど絶対に認められない。
いま行うべきことは、憲法が要請する「生活費非課税」「応能負担」の原則を税制に貫き、米国製兵器の「爆買い」など税の無駄遣いをやめることである。何より、消費税率を5%に引き下げて家計を温め、景気を好転させることが欠かせない。消費税に頼らず、暮らしを支えるための新たな財源を確保する道がここにある。
私たちは決してあきらめない。共同をさらに広げ、消費税率5%への引き下げと、複数税率・インボイス制度の即時廃止の実現をめざし、全力を挙げて奮闘する決意である。