どうなる複数税率・インボイスの実務(1)

全国商工新聞 第3377号2019年9月16日付

税率を区分して記帳

 安倍政権は10月から消費税率10%増税と複数税率を導入しようとしています。10%増税中止、複数税率、インボイス制度の導入反対の声を上げ続けなければなりません。一方、複数税率が導入された場合、何が変わり、どんな対応が求められるかをつかみ、対策を考える必要があります。佐伯和雅税理士が実務上の注意点を連載で解説します。1回目は区分経理についてです。

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 複数税率制度が導入されると、消費税率は10%と8%の税率が使われることになります。そうなると、自分の取引が消費税10%なのか8%なのかを区分して記帳をしなければなりません。これが「区分経理」と呼ばれるものです。
 具体的に仕入れについて帳簿で表すと下記の表になります。今までも記載していた取引相手の氏名、金額、取引年月日、取引内容に加えて、軽減税率対象資産については、軽減税率対象資産であることの記載(※の部分)が必要となります。

販売側の注意点

 この出納帳は消費者側(購入者)が作成するものですが、販売側も一定の準備が必要です。また、販売する側が、免税事業者や簡易課税を選択している事業者であっても、軽減税率対象品目を区分した領収書等を購入者に渡す必要があります。この領収書は手書きであっても有効ですし、屋号で発行しても構いません。
 なお、8%の軽減税率が特例になりますから、すべて10%で販売をしている場合には、今まで通りの形式の請求書や領収書に、適用税率(10%)や消費税額の記載を加えて発行することになります。

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