全国商工新聞 第3366号2019年6月24日付
一関民商が開いた消費税・インボイスの学習会
一関民商が行った免税業者への調査の概要を紹介します。
売り上げが最高934万円から最低101万円までの20人が対象。(1)業種(2)直近の売上額(3)売上総利益額(粗利益額)(4)所得額(営業利益額)(5)付加価値額(6)税率10%に引き上げられた場合の税額(本則課税で計算)(7)取引形態-の7項目を調査。併せて消費税の転嫁や生活状況等を聞きました。
業種は建設関連、生活関連サービス・飲食、養鶏業・農業の3業種で全体の90%を占めました。企業間取引(BtoB)中心は14者で、一般消費者との取引(BtoC)中心は6者。
平均売上額が507万円に対して、平均粗利益額は298万円、平均所得額は102万円。課税業者になった場合の平均消費税額は17万7000円となり、所得に占める割合は16%を超えました(表1)。中には45%を超える建築業者もいました。
課税事業者を選択するとした17者のうち、「価格に全く転嫁できない」としたのは6者、「一部転嫁できる」のが3者で、「身銭を切って」払う業者の比率が過半数に達しました。
インボイス制度はBtoB形態の免税業者にしか影響がないように思われていますが、今回の調査では、BtoC形態の免税業者にも影響を与えることが判明。BtoC形態中心の6者は、法人企業や課税事業者との取引は全体の3%から5%程度に留まりますが、6者中4者が課税事業者を選択すると回答。「たとえ1件であっても、受注を失いたくない」(健康・美容サービス)などの理由からです。
課税業者を選択せずに取引が打ち切られた場合、BtoB形態の損失試算額は表2の通り。平均375万円で売上額の70%に達しました。また、BtoC形態の損失試算額は表3の通りで平均14万8000円の売上額が減少することが明らかに。
今回の調査では、免税事業者は取引形態や事業規模を問わず、インボイス制度の導入によって課税業者への転換を迫られ、担税力をはるかに超える負担を強いられることがあらためて判明しました。
同時に、免税業者にとどまったとしても、企業間取引の打ち切りや顧客減少のリスクを負わされるなど経営危機に直面し、廃業に追い込まれる可能性があることも浮き彫りになりました。