全国商工新聞 第3357号2019年4月15日付
「10月からの消費税10%への引き上げをストップさせよう」─。1989年4月1日に消費税の導入が強行されて30年。導入日の1日に合わせ、「消費税10%ストップ!」の行動が全国各地で取り組まれ、「これ以上は払えない」「消費税はなくしてほしい」と怒りの声が上がっています。
署名やシール投票に応じる若者
「いま上げるべきではない」と大々的に宣伝した10%ストップ!ネット
10月消費税10%ストップ!ネットワーク(10%ストップ!ネット)は4月1日、東京・JR新宿駅西口で署名宣伝行動に取り組みました。10%増税と複数税率導入に反対する税理士の会や消費税廃止各界連絡会(各界連)も共同し、60人が参加。10%中止署名を79人分集めました。
障害のある子どもと生活しているEさんは、清掃員として昼も夜も働いていますが、生活は苦しいと言います。「増税されれば、さらに負担は大きくなる。消費税分がなければ、もっと買うことができる。消費税はなくしてほしい」と訴えます。「増税は中止するべき。低収入者の負担が増える」と話すKさん。「景気の底上げのためにも、税率を5%、4%と減らす方がいい」と署名。18歳の大学生は「消費税が上がっても、給料は上がっていない。増税するなら、給料も上げるべき」と、負担増にしかならない消費税10%は中止と署名しました。
同ネット呼び掛け人の全国保険医団体連合会の住江憲勇会長は、「10%へ増税することは、まったくもって暴挙と言わざるを得ない」と強調。「社会保障予算が足りなければ、軍事費を削れば済む話。これ以上の増税は許せないという国民一人ひとりの声を安倍政権に突きつけよう」と訴えました。
同じく呼び掛け人のNPО法人医療制度研究会の本田宏副理事長は、「私たちにできるのは、政治に関心を持って、正しい日本の現状を知ること。今回の消費税のことを契機に、より良い国にしていこう」と呼び掛けました。
消費税をなくす全国の会の梅村さえ子さんは、消費税を弱い者いじめ、業者にとっての営業破壊税と指摘。「いろんな団体や立場を超えて、10月からの消費税10%増税は中止にしましょう」と訴えました。
奥津年弘税理士は「消費税が導入された1989年から法人税は下がり続けている。消費税の税収の8割弱は、法人税の減税でなくなっている。複数税率で税率が据え置かれても物価は上がる。『軽減』はまやかし」と強調。菊池純税理士は「消費税は、逆進性の高い憲法違反の税金。消費税の増税と一緒に導入される複数税率は、事務負担の増大など中小企業に大変な苦難をもたらす」と訴え。師岡徹税理士は「年収200万円の人の年収に占める消費税の負担割合は、約6%。年収1500万円以上の人の消費税の負担割合は約2%。約3倍以上の消費税を負担していることになる。こんな不公平な税金は消費税だけ」と指摘し、不公平な税制をただすことで、増税せずに財源を確保できると訴えました。
日本共産党の岩渕友参院議員は「暮らしはどんどん悪くなり、社会保障は削られている中、『消費税10%をやるのか』と怒りの声が上がっています。国民が声を上げれば、増税はストップさせることができる。全国で行われている統一地方選挙で、増税中止の意思を示しましょう」と呼び掛けました。
着ぐるみも登場し、10%増税中止を訴えた愛知県でのロングラン宣伝
愛知県商工団体連合会が加盟する消費税をやめさせる愛知連絡会と愛知県消費者団体連絡会が3月30、31の両日、消費税増税反対ロングラン宣伝に取り組み、延べ79人が参加。署名202人分を集めました。
30日のJR豊橋駅前の行動には、4団体24人が参加。124人分の署名が集まりました。「誰が消費税を10%にしていいと言ったんだ」「自民党はもうダメだ。選挙では自民党には入れん」「安倍は国民のことを考えていない」「少しの年金で、これ以上は払えない」など、安倍自民党政治に対する怒りとともに、署名をする人が多くいました。
31日の名古屋市中区メルサ前の行動には、22団体55人が参加。各団体の代表などがマイクを握り「増税は社会保障のためというが、消費税導入以来、社会保障は良くなっていない」「安倍政権は財政難といいながら、戦闘機の爆買いなど軍事費には湯水のように税金を使っている」などと訴え。パンダやウサギの着ぐるみが登場し、風船を配りながら署名やシール投票への協力を呼び掛けました。
集まった署名は78人分。消費税増税ストップのティッシュ500個があっという間になくなり、100人を超える人がシール投票に参加。「借金があるから仕方ない」など賛成が13%に対し、「なくしてほしい」42%、「8%のまま」29%、「5%に戻して」16%と増税反対が圧倒的でした。
県内7カ所で宣伝行動に取り組んだストップ!ネット岡山
「給料も上がらない。豪雨被災者のくらしもまだ大変!被災地の岡山から増税反対の声を上げよう」─。10月消費税10%ストップ!ネットワーク岡山は4月1日、生協労組おかやまと共同で、岡山県内の生協7店舗の敷地内で10月消費税10%ストップの署名・宣伝行動に取り組みました。全体で13団体34人が参加し、270人分の署名が集まりました。
生協労組おかやまは、事前に「4月1日に敷地内で署名宣伝行動を行いたい」と理事者側に申し入れ、了解を取っていました。
「この署名だ」と駆け寄ってくる人、「税金は大企業から取ってほしい。安倍さんは早くやめてほしい」と署名に応じた人もいました。津山市から家族連れで来たという人は「自分は、医療生協で活動している。ご苦労さまです」と署名をしました。総社市で技能実習生として働く、ベトナム人の若い女性が「増税に反対なので、署名させてもらっていいか」と駆け寄り、署名しました。
10月消費税10%ストップ!ネットワーク岡山は、節々で、今回のような統一行動も組みながら、今後も運動を進めます。
京商連婦人部協議会では「怒りの大宣伝」を行い、「諦めたらあきまへん!」と街頭でアピール
32人が参加し、「消費税増税は絶対反対!」とにぎやかに宣伝した京婦協
「10月からの10%増税は絶対反対」「消費税は商売を壊す」─。消費税導入から30年を迎えた4月1日、全国各地の民主商工会(民商)や「10%ストップ!ネットワーク」は、消費税反対の宣伝行動を行いました。
京商連婦人部協議会(京婦協)は「怒りの大宣伝」を京都市内で行い、32人が参加しました。32人がおそろいのピンクの法被や着物で街頭に出て、にぎやかにアピールしました。
10人がマイクを握り、消費税に苦しんでいる実態や地域で商売している思いを語り、「増税反対の気持ちを伝えないと、京都の街・地域がだめになってしまう」「10月に予定されている10%は、まだ止められる。みんなで力を合わせよう」と力強く訴え、観光客からも注目を集めました。
Mさん=装飾品製造=は「私たちは呉服関係、西陣織関係、電気関係など、さまざまな業種の仕事をしている業者婦人の集まり。老舗といわれたお店も閉店が続いている。観光だけに頼らず、京都の職人も守って」と訴え。Yさん=菓子製造・卸=は、トヨタなど輸出大企業に払われる還付金について説明し、不公平であることを訴えました。
若者や観光に訪れた外国人からも注目を浴び、就職活動中の男子学生が署名。宣伝の様子をカメラに収めていたフランス人の女性カメラマンは「重い税金が国民へのサービスに使われていない問題は世界中で起きている。どうしてそんなことになっているのかを考え、子どもたちの世代のために私たちが立ち上がって解決しなくてはいけない」とエールを送っていました。
10%ストップ!ネットワークの活動が活発化する中、「私たちも街頭で声を上げようと早くから決めていた。業者婦人も言いたいことがたまっているんやね」と話すのは京婦協会長=イラストレーター。「行動し、みんなまた元気になった。この感じでもう1回やらなあかんね」と力を込めました。