消費税10月10%中止へ 3・13重税反対統一行動
中央各界代表者会議開く

全国商工新聞 第3354号2019年3月25日付

 10月からの消費税10%への引き上げ中止を求める声が大きく広がる中で開かれた「第50回3・13重税反対全国統一行動」。東京では財務省や国税庁、総務省と交渉し、国会内で中央各界代表者集会が開かれました。

中央各界代表者集会 50年の歴史に確信

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国会内で開かれた中央各界代表者集会

 第50回3・13重税反対中央各界代表者集会が13日、参院議員会館で開かれ、18団体から約110人が参加しました。
 醍醐聰東京大学名誉教授が「消費税10%の増税 なぜダメなのか」をテーマに講演しました。「総すかんポイント還元」「膨らむ還元対策費」「混乱必至の軽減税率」の三つの問題を指摘。増税対策費は、「安倍政権延命のための国費の私物化」と述べ、「法人税を30%に戻し、株式譲渡所得の45%課税、専守防衛の枠を超えた『防衛費』の削減などで財源を確保すれば増税は必要ない。納税者として声を上げる時」と呼び掛けました。
 また、全商連の太田義郎会長が特別報告を行い、「消費税導入で税の所得再分配機能が失われ、社会保障費削減とともに国民を苦しめている。納税者の権利と税の公平原則を取り戻す必要がある」と提起しました。また、弁護士の鶴見祐策氏は50周年に当たり、重税反対闘争の歴史的意義を振り返りました。
 各界からの発言では「193万の農民の90%は免税の小規模農家。インボイス(適格請求書)導入で取引から排除が迫られる。なんとしても阻止しよう」(農民連)、「増税されれば、買い物も1、2品少なくしなくてはと組合員さんが言っている」(生協労連)、「物価の高騰に年金の引き上げは追いついておらず可処分所得が減っている」(年金者組合)などの実態が出されました。また、浦野広明税理士は、選挙の公約に基づき消費税をなくしたマレーシアの経験を紹介しました。
 最後に、全労連の斎藤寛生常任幹事が、「税の集め方、使われ方への関心を高め、地方選挙、参議院選挙で勝利しアベ政治に退場を迫ろう」と閉会あいさつを行いました。
 集会では、日本共産党の宮本徹衆院議員が駆け付け、国会情勢報告。「財務省の試算では、インボイスの導入で約161万の事業者が新たに年15・4万円の負担増になることが明らかになった。価格に転嫁できず多くの廃業を生み出す。増税は絶対に許せない」と訴えました。
 また、全建総連などからメッセージが寄せられました。

税制・税務行政正せ 省庁交渉

「益税」とは認識せず 財務省が見解

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消費税10%への引き上げ中止などを求めた財務省との交渉

 財務省では消費税10%への引き上げを中止し、複数税率やインボイス制度を導入しないこと、総合累進課税、生活費非課税、応能負担の税制に改めることなどを求めました。
 省側は「10%への引き上げが景気に影響を与える」との認識を示しましたが、「社会保障財源を安定的に確保するため、消費税の引き上げが必要」と繰り返し答弁。参加者は「社会保障の財源確保というのなら400兆円を超える内部留保をため込んでいる大企業の法人税引き下げをやめて累進課税を強化すべき」「景気が後退する中で、消費税を増税すれば日本経済を破壊する」と抗議しました。
 免税制度に関わって「『益税がある』との声が寄せられているというが、省としての見解はどうか」とただしたところ「『益税』とは認識していない。免税制度は公平性を損なわない範囲内で中小事業者の実務負担に配慮し、実務負担の簡素化のために設けられた」と回答しました。
 また、インボイス制度について「免税業者はインボイスを発行できるようにするため、課税業者にならざるを得なくなり、消費税の負担が強いられる」との指摘に対し、省側は「影響があることは認識している」と答えつつも「免税業者が円滑に対応できるように経過期間を設けている」と答え、問題をすり替えました。

消費税は価格の一部 国税庁をただす

 国税庁では、税務調査に関わって実地調査は文書で事前通知することや、来署を求めた文書を送らないこと、本人の承諾がない反面調査をやめることなどを要求しました。
 事前通知について庁側は「納税者に確実に伝わるように電話で調査を通知している」と強弁し、反面調査については「客観的に見て、やむを得ないと認められる場合に限って行っている」と回答。参加者が「調査前から取引先への反面調査が行われている。取引先からの信頼が損なわれ、取引停止になりかねない重大な問題」と抗議すると、「指摘は関係部局に伝える」と答えました。
 「消費税が預り金的性格を有する」との認識を示したことについて、「消費者が払う消費税分は商品や役務提供の対価の一部であり、事業者が納付義務を、消費者との関係で負うものでないとの判決が確定している。預り金でないことは明らか」と庁側の姿勢をただしました。また、食品業界の相次ぐ値上げに関わって、「政府が昨年11月、税率引き上げ前の値上げを容認するガイドラインを示している。増税前に増税分を値上げできるのは、消費税が価格の一部であるという性格を表している」と強調。「預り金的という言い方は、消費者に誤解を与えるので撤回を」と要求しました。

困窮者救済へ「通知」 総務省が回答

 総務省ではマイナンバーカードの普及・利用拡大をやめることや、強権的な滞納処分を戒めることを自治体に徹底するように「滞納整理マニュアル」を改善することなどを求めました。
 マイナンバーカードについて、省側は「記録されている4情報(氏名、性別、住所、生年月日)のみを使っており、生体情報や税などの機微情報は記録されていないので、例え紛失しても、それだけで、いもづる式に情報が漏れるわけでもない」と回答しました。
 滞納処分については「滞納処分をすることによって生活が著しく困窮する場合は、滞納処分の執行を停止することができると法律で規定されている。個別・具体的な実情を把握した上で、適切に執行するように、すべての地方団体に事務連絡をしている」と回答。「人権や生存権を脅かす強権的な徴収が後を絶たない。滋賀県野洲市のような困窮者救済の取り組みを強められないのか」の問い掛けに対して「厚労省との連名で昨年10月、生活困窮者自立支援制度にのっとった通知を発出している。鳥取県の児童手当差し押さえ違法判決の趣旨を踏まえての対応を進める」と答えました。
 外形標準課税の対象企業を資本金1億円以下に拡大する問題では「現在はまったく検討していない」と述べました。

重税反対集会 各地で

小学生も「はんたーい」

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消費税増税中止を訴え、デモパレードした札幌北部集会

 札幌北部集会は、13団体200人を超す参加者が集まり、盛大に開催しました。
 札幌北部民主商工会(民商)から、個人でペットショップを営む業者青年が「消費税を計算すると1人雇用できるくらいの金額になる」「社会保険にしてあげたいけど、負担できる利益が上がらない」「消費税分の値引きは身を削ることになる」と自身の商売と消費税について報告。また、換価の猶予を申請したときのことを語り、「妻の給与が少しあるので、生活費2万円を残して計画書を作成すると、署員から『まだ2万円ある』と言われた。『死ねと言うのか』と思った」と発言。民商会員からは共感する声が集まる一方、他団体からは「信じられない」というどよめきが起こりました。集会終了後、会場から北税務署までデモパレード。下校途中の小学生から「消費税はんたーい!」と声が上がり、励まされました。

カジノより防災を大事に

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寸劇「妖怪班会」で、増税による免税業者の影響を解説した西成業者大会

 大阪・西成業者大会が13日、西成区民センターで開催され、約270人が参加。デモ行進で「消費税10%なんでやねん!」と怒りの声を上げました。
 西成民主商工会(民商)の成子晶美会長があいさつ。国民や中小業者を追い込む消費税増税を狙う安倍政治や、カジノ誘致を進める大阪の維新政治を批判。知事選や市長選、統一地方選を大きなチャンスと捉え「カジノよりも防災を大事にする政治を」「10月の消費税増税を止めよう」と訴えました。
 集会では、「ゼゼゼの消費ゼイ」プロジェクター寸劇「妖怪班会」を好演。西成民商の役員が妖怪に仮装。免税業者が支払う消費税納税額の計算例も示し、「署名を集めて増税をストップさせよう」と訴えました。
 Aさんは「お店の売り上げだけでは切り詰めた生活になるため、バイトもしている。今は若いから体も動くが、この先のことを考えると不安。消費税が増税されれば、さらに景気が悪くなる」と増税反対の思いを語りました。
 日本共産党のあだち雅之大阪府議会議員候補(西成区・大正区)、わたなべ結衆院大阪3区国政対策委員長が来賓あいさつしました。

増税阻止の展望語る

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増税阻止の展望を胸に、デモ行進した鶴岡田川地区集会

 山形・鶴岡田川地区集会では、ジャーナリストの斎藤貴男さんを招き特別講演。「自分も納税義務者として苦労した経験から消費税問題に敏感になった」という斎藤さんは、消費税の仕組みを解説しながら、いかに不公平な弱いものいじめの税金かを語り報道の問題、財源にも触れ、消費税増税阻止の運動に展望を示しました。講演後には、増税阻止を体現するイエローマンも登場。消費税増税中止、改憲阻止、納税者の権利擁護・発展などをめざす特別決議を採択しました。
 デモ行進は、あいにくの雨模様でしたが、斎藤さんも一緒に税務署へ向かい、税務署長宛に民主的税制を求める要請をした上で集団申告。250人が参加し、大きなトラブルもなく、無事に終えることができました。

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