全商連
全商連トップ とじる
消費税
消費税を軸に大増税へ拍車
危険な「増税論調」を斬る
 政府は7月、「経済財政運営の基本方針2006」(骨太の方針)を閣議決定し、消費税を中心とした増税方針を明確にしました。また、ポスト小泉をめぐり、総裁選立候補者から消費税増税の時期やアップ率に関する発言が相次いでいます。この間の増税論調の特徴と問題点を明らかにします。

応能負担原則に基づく税制の見直しこそ必要
 「骨太の方針」は、当面2011年までに財政を黒字化するために、「財政健全化」に向けた「歳出・歳入一体改革」の推進を明記しました。国民向けの歳出を徹底的に見直しても、なお2兆2000億円〜5兆1000億円は不足するとして「07年度を目途に消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する」と宣言。財政赤字をつくった自らの責任にはほおかむりし、庶民には、さらなる増税と負担増を迫っています。
 政府はこの間、財界の要望を受け、応能負担原則に逆行する法人税の減税や金持ち減税を実施、庶民には増税と負担増を繰り返しおこなってきました。小泉内閣になってから実施、決定された04年から07年までの主な増減税(図1)では、大企業にはIT投資減税や研究開発減税により約6兆640億円の減税となり、庶民には配偶者特別控除の縮減、老年者控除の廃止、定率減税の半減・全廃などで8兆8895億円も増税がもたらされました。
 不公平税制をただす会が、税制を見直せば国税・地方税で約17兆円も増収すると試算(図2)しているように、税の本来のあり方である応能負担原則(経済的能力に応じて税金を負担する原則)に基づく税制に変えることこそ求められています。



福祉目的に消費税増税を強要
 「骨太の方針」は、「税制に求められる主な政策課題」として、社会保障給付費の安定財源確保と、「国際競争力」の強化・活性化に資することを強調し、消費税の福祉目的税化の方向を示しました。
 日本経団連の御手洗冨士夫会長は「透明性が高いという意味で賛成だ」と歓迎しています。小泉首相は「歳出削減を徹底していくと、もう増税の方がいいという論議になってくる」と述べています。
 「日本国憲法の下ではすべての租税は、憲法の意図する福祉目的のために徴収されかつ支出されなければならない」(北野弘久日大名誉教授)ものです。
 福祉目的を口実に消費税を上げるなどとは憲法違反も甚だしいと言わざるを得ません。

総裁選挙で増税路線の定着狙う
 政府が意図するのは「税体系の抜本的改革」(06度年与党税制大綱、骨太の方針)です。消費税の2けた化をはじめ、給与所得控除の縮小や各種控除の廃止など所得税「改革」によるまさに全面的な庶民大増税路線です。
 「2段階で10%ぐらいをめざす」(谷垣財務相)、「(消費税は)抜本的税制改正のなかで見直す」(安倍官房長官)など、消費税増税を競い合うような発言が続いています。
 小泉首相が「私の任期中は上げない」と公約したことで、封印されてきた消費税率引き上げ議論を一気に高め、総裁選を通じて、増税路線を定着させようと狙っているのです。
 消費税は、大企業にとっては転嫁することができ、トヨタなど輸出企業は大変な額の還付を受けていますが(図3)、中小業者のほとんどは転嫁できず、事業が赤字でも自腹を切って納めなければなりません。昨年の免税点の引き下げで、新たに122万人もが消費税の課税業者になり、「食えば払えず、払えば食えない」と各地の民主商工会(民商)に分納や納税猶予を求める相談が相次いでいます。
 弱肉強食の小泉政治の下で、01年〜05年間に50万社以上の中小業者が倒産・廃業に追い込まれました。消費税の2けた化は、消費税増税に耐えられる業者と倒産に追い込まれる業者をつくりだし、まさに「格差社会」を定着させる最悪の税金です。


立法過程で増税路線をやめさせよう
 7月2日におこなわれた東大阪市長選挙で、増税反対を訴える候補者が当選。市民税や国保税の大幅引き上げの時期と重なり、「市民税が10倍になった」「年寄りは早く死ねというのか」と怒りの抗議が殺到するなか、小泉「構造改革」による格差と貧困に対する「ノー」の審判が下されました。
 各地の消費税廃止各界連絡会(各界連)の宣伝・署名行動でも、「米軍移転に3兆円も使って財源がないなんておかしい」「これ以上消費税が上がったら廃業するしかない」など、怒りと切実な声が寄せられています。
 浦野広明立正大学教授(税理士)は「悪法は立法の過程で反対運動をおこなうことが大切」と述べています。来年春のいっせい地方選挙や参議院選挙で広がる怒りを結集し、「大増税ノー」「消費税増税反対」の政党、議員を大量に議会に送り出せるかにかかっています。
 消費税をはじめ庶民大増税に反対する運動を、今こそいっそう強める時です。
 
全商連トップ ページの先頭 とじる