滞納者に属する財産のうち、原則として金銭化することが可能なすべての財産が差し押さえの対象となり得るとしています。しかし、国税徴収法75条1項に列挙されている13項目は、差押禁止財産であるとして「差し押さえることができない」とされています。
具体的には、滞納者およびその者と生計を一にする配偶者の生活に欠くことができない衣服、家具、台所用具および生活に必要な3カ月間の食料や燃料などです。
近年、差押禁止債権になっている給与や年金、生活保護費、児童手当の支給は振り込みが一般化しています。「振り込みによって預金債権が一般財産に転化した。従って、差し押さえの禁止・制限は解かれた」という理屈をつけて、預金財産を差し押さえるという事例が起きています。
鳥取地裁は3月29日、預金口座に振り込まれた児童手当13万円を差し押さえ、滞納していた県税に充てた鳥取県の処分を「権限を乱用した違法なもの」と断罪しました。
「振り込まれた差押禁止債権そのものが、その預金口座の中で明確に識別・特定できて」かつ、「その差押禁止債権のほかに、生計をたてる財産がない場合」は、その差押禁止債権に対する強制執行は許されません。