全中連
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全中連が省庁交渉 たたかえば要求実現できる
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運動が金融・国税庁動かす |
臨時国会で重要法案が本格審議に入り、たたかいは正念場を迎えています。全国商工団体連合会(全商連)も加盟する全国中小業者団体連絡会(全中連)は10月25日、06年度幹事会を開くとともに、緊急要求を掲げ、経済産業省や厚生労働省、金融庁など6省庁と交渉しました。貸金業法「改正」については、特例金利を撤回させるなど大幅に修正しました。
消費税「預り金」で回答不能
国税庁 法人概況書 罰則なし 国税庁交渉では、長官官房調整室の原英一課長補佐と田所寛幹連絡調整係長が応対。
交渉団が「消費税は預かり金でも預かり金的でもないことを明確にせよ」「東京地裁判決でも消費税は対価の一部だと認定している。対価は預かり金ではない」と商工新聞や資料を使って追及すると、原課長補佐は「関係部局に伝える」と答えるのみで、回答不能に。さらに「消費税は預かり金的性格」と答えましたが、国税庁として税法上の見解は検討をしていないとの資料を見せて追及するなかで、「国税庁の見解ではない」「政府税調などの見解を踏まえ、国税庁として使用を判断したもの」と述べ、預かり金とは「根底は違う」と回答しました。
06年度税制「改正」で盛り込まれた法人事業概況書の添付を定めた施行規則について「罰則はあるのか」と質問すると、原課長補佐は「罰則はない。出してくださいとお願いするだけ」と回答。この間、各地の税務署交渉で得ている回答を裏付けました。「この間、各地で納税の猶予申請を受け付けない事例が相次いでいる。どう考えるか」については、「受理しないことはあってはならないこと。庶務課を通じて各税務署に徹底する」と回答しました。
滞納整理について、先日付小切手は「強制的に出させることはしていない」「委託しても返却の申し出があったとき、事情を踏まえ応えている」と改めて確認しました。
交渉に参加した神奈川県平塚市の運送業者が「東京国税局に商売や生活の実態を何度も訴えているが、実情を無視して差し押さえを宣告された」と告発。
交渉団が「『滞納者の生活の維持又は事業の継続に与える支障』あるものには十分留意する国税徴収法基本通達があるが、この滞納者の保護規定を認めるか」と追及すると、「確かに出ている」と回答しました。「納税者の実情をふまえて対応してほしい」と要請しました。
また、京商連の代表が、商工新聞(10月30日号)に掲載された京都・宇治税務署によるおとり調査に関して、「『納税者の理解と納得を得ておこなう』という税務運営方針に反する」と抗議。要望書を手渡しました。
原課長補佐は「きょう出された個別事案は各関係局に伝える」と回答しました。
経産省 原油高騰など対策を 意見反映し負担の軽減へ 経済産業省では中小企業対策予算の大幅な増額とともに、原油値上がりに伴う軽油や原材料高騰の問題、信用補完制度の抜本的見直し、商店街・中心市街地の活性化について要望しました。
原油の値上がりについては全商連が実施した緊急アンケートの結果を示しながら、軽油引取税の暫定税率の撤廃など負担軽減措置を要求。「軽油の値上がりで運送業者が打撃を受けているのは承知している。撤廃は経済産業省だけでは決められないが、省庁を横断する検討の場所で意見を反映したい」と回答。
信用補完制度の見直しに関連して「保証協会が簡単に競売にかけるのは間違っていると認識している。協会の権限から逸脱した事例は指導する」と答え、金融機関が貸し渋っている問題も「金融庁へ働きかけの必要性を感じている」との認識を示しました。
参加者は「日本経済を支える中小企業に対する予算はあまりにも少ない。大幅に増やしてほしい」と訴え、省側は「経済の回復基調は地域によってバラツキがある。中小企業が活力を持つかどうかが経済活性化のカギ。予算については十分とは思っていない。今後も必要な予算を確保したい」と話していました。
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貸金業法改正案について正す代表ら |
金融庁 貸金業関連法案の「当初案は撤回する」 金融庁では、貸金業法改正案について正しました。
折しも自民党金融調査会が24日、反対が強かった少額・短期と事業者の特例金利の撤回、利息制限法の金利区分改定も見送るなどの修正案をまとめたことから(別項)、代表は「世論が動かした。しかし問題はまだあり、実効あるものにしてほしい」と強く訴えました。
庁側は「多重債務者の発生防止の立場から法改正を検討してきた。自民党は当初案を撤回する方向で、金融庁もそういう立場だ」と回答。過剰貸し付けを防ぐために、信用情報機関の整備(返済能力のない人には貸さない)を検討中で、「多重債務者防止対策本部のようなものをつくり、各省庁で連携していきたい」とも答えました。
公正証書の悪用など脱法的取り立ての強要については、「白紙委任状を取らないよう指導するなど説明責任を強化したい」、消費者信用団体生保の廃止については、「規制の方向で検討中。自殺を保険事故として扱うことは禁止する内容で、加入には説明責任を強化したい」と述べました。
東京の会員からは不良債権処理に関して、金融機関が本人に断りなく、サービサー(債権回収会社)に債権譲渡されている事例について、「きちんと返済しているのに突然債権譲渡を繰り返され、返済額が膨らんだ」と訴えました。庁側は担当に報告することを約束しました。
警察庁 「改正」道交法適用で改善の検討表明 警察庁との交渉では「改正」道路交通法運用の改善などを要望。「地域や業界団体などからの要望や意見が出されていることに関して、「現在検討をしている。いつになるか分からないが、検討した内容は各都道府県に対してなんらかのアクションを起こす(文章なり、通達なりを出す)」と回答しました。
また、「駐車場不足は認識している。関係方面とは協議を進めている」「ガイドラインの問題については、地域住民の意見を良く聞くことと併せ、地域の状況を加味して検討している」と答えました。
公共性や必要性の高い業務車両への「許可証」の発行については「申請すれば受け付けるが、許可するか否かは申請内容と地域の状況を見ないと判断できない」と答えるにとどまりました。
参加者は「運転車は努力している。駐車場がない場合が多いのでどう努力すればいいのか。許可証の発行を」と再度訴えました。
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中小業者の実態を訴えた厚生労働省での交渉 |
厚労省 国保充実せよ 資格証は弾力的に 厚生労働省では、国民健康保険を皆保険として充実させること‐などを求め交渉。
東京からの参加者が病人にまで資格証明書を発行している実態を示し「病気やけがの場合は発行しないということですね」と確認を求めると、担当者は「病気やけがは特別な事情。当然発行できない」と回答しました。
「分納については資格証明書を発行しないこと」を求めると「法律上は1年以上の滞納で発行する。運用上は弾力的におこなうよう各保険者にお願いしている」と答えました。
岐阜からの参加者が「自治体により要介護認定による障害者控除認定書発行にばらつきがある。指導の徹底を」と要請すると「関係部署に伝える」と回答。
兵庫の参加者は「中小業者は200万円の所得で40万円以上の保険料を負担させられている」と訴えると、「国保制度は相互扶助。運営は各保険者。指導はできないが個々の事情に配慮するようお願いしている」と答え、参加者から「もっと実情をつかんでほしい」と怒りの声が上がりました。
国交省 入札ボンドやめよ 「今後はまだ白紙」 国土交通省には、入札ボンド方式(注)の導入をやめることや公共工事設計労務単価の下落に歯止めをかけることなど6項目を要望しました。
省側は入札ボンド方式について「東北、近畿方面で、7・2億円の直轄工事をピックアップし、今年度から試行している」と回答。「財務審査で内容がひどい企業は入札に参加できない。行政と金融機関の連携で、市場機能を通じて質の高い競争を促進する」と回答。
参加者は、大手ゼネコンの生き残り策と批判、中小建設業者の日常の仕事にまで波及と懸念を指摘。「今でも金融機関から『融資はしない』と言われる建設業者が増えている」と訴えました。
省側は「懸念があるから現在は大規模工事に限定。そこから検証する。今後はまだ白紙の状態」と述べました。
参加者は、農林水産省と国土交通省が公共工事の工事費の積算に用いるための公共工事設計労務単価が下落し続け、それが事実上、市町村の公共工事などの単価にも及ぶ状況を告発して是正を迫りました。
また原油高騰で建設資材も値上がりしている状況を伝え、中小建設業者の立場に立った対応を要求しました。
(注)入札参加者に対し、金融機関などによる審査・与信を経て発行される契約保証の予約的機能を有する証書の提出を求める制度。 |
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