全国商工新聞 第3389号2019年12月9日付
38年ぶりに来日したローマ教皇フランシスコの平和を願うメッセージが、マスコミでも大きく取り上げられ共感の声が広がっています。
ローマ教皇は6年前の就任以来、核廃絶を訴え続け、バチカンは核兵器禁止条約にいち早く批准するなど、核のない世界を実現するための、リーダーシップを発揮してきました。
長崎の爆心地公園で行ったスピーチでは「核兵器から解放された平和な世界は、数えきれないほどの人が熱望している」「核廃絶のために、全ての人の参加、核兵器保有国も非保有国も、一致団結していくことが必要」と呼び掛けました。
教皇と会談した安倍首相は「日本とバチカンは、核なき世界実現、貧困の撲滅などを重視するパートナー」と述べました。しかし、会談後、菅官房長官は「日米安保体制のもと、アメリカの核抑止力を維持・強化していく」と記者会見し、教皇のメッセージを全く無視するような日本政府の態度を示しました。
世界で唯一の戦争被爆国として極めて恥ずべき姿勢です。
また、教皇は東日本大震災被災者との集いに参加し、「原発廃止」にも言及。多くの国民・中小業者の願いとも重なり合うメッセージを発信して日本を後にしました。
この問題でも日本政府の原子力規制委員会を利用した「原発再稼働」の姿勢は明らかです。直近では、宮城県石巻市の女川原発の再稼働をごり押ししようとするなど、国民の願いと逆行した行為を繰り返しています。
民商・全商連は、「共同・団結・連帯」を掲げ、核兵器のない世界の実現のために、「非核の政府を求める会」や「原水協」などの構成団体として活動しています。
来年のNPT再検討会議に合わせて、ニューヨークで原水爆禁止世界大会を開催します。その成功に向け、地域での運動を強化していきましょう。
教皇の来日により、核兵器廃絶と平和、原発ゼロに背を向ける安倍政権の姿がいよいよ明らかになりました。「1日も早く退陣を」の世論を広げ、来る衆議院選挙に向け、政治を転換していく運動を、全国で旺盛に展開していきましょう。