全国商工新聞 第3388号2019年12月2日付
1941年12月8日、日本はイギリス領マレー半島コタバルやアメリカのハワイに侵攻し、米英に宣戦布告、太平洋戦争へと突入しました。31年から15年に及ぶ侵略戦争によりアジアで2000万人以上、日本国民も310万人を超える尊い命が犠牲になりました。
当時、戦時体制の下、中小業者は企業整備令によって、転業・廃業を強制され、徴用・供出で軍需産業へと動員されました。自由に商売する権利を奪われ、次第に経済も崩壊しました。
戦後の日本は、侵略戦争の反省に立って、現憲法に「基本的人権」を掲げ、「戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」を誓い、国際社会の一員としての一歩を踏み出しました。人類の理想ともいえる憲法は、日本の誇りです。
しかし、安倍首相は「必ずや憲法改正を成し遂げる」と述べ、自らの任期中の改憲に強い執念を燃やしています。
2015年9月に強行された戦争法(安保法制)の下で、ヘリコプター搭載型の護衛艦「いずも」を空母化し、短距離離着陸が可能なF35Bステルス戦闘機を搭載し、敵基地攻撃も可能なイージス・アショア陸上型ミサイル防衛システムの配備など、「防衛」の概念を大きく超えて軍備を増強しようとしています。
自民党が示す「9条に自衛隊を書きこむ」改憲案は、自衛隊の海外での無制限な武力行使に道を開くものです。「必要最小限度の実力組織」とする表現も時の政権の判断に委ねられ、極めて危険で絶対に許すことはできません。
今国会で国民投票法改正案の成立は見送られましたが、衆議院の憲法審査会で、2年間できなかった自由討議を行うなど、自民党は改憲を強い意志で進めています。
12月8日は、全商連婦人部協議会も参加する「武器はいらない、核もいらない、平和を守る母親全国連鎖行動」が行われます。「赤紙(召集令状)」を模したチラシを街頭で配り、二度と悲劇を繰り返さないことを確認する日として、平和への決意を新たにします。
民商・全商連は「平和でこそ商売繁盛」を信条にしてきました。戦争をさせない、憲法改悪を許さない世論と運動を、大きく広げることが求められています。