全国商工新聞 第3387号2019年11月25日付
毎年行われている首相主催の「桜を見る会」で、安倍事務所が地元・山口県から数百人規模の後援会員を招待していたことが大問題になっています。
公的行事に堂々と自らの支援者を招く「税金私物化」疑惑に、「消費税増税や自然災害で苦しんでいるとき、何をやっているのか」など、国民の中に大きな怒りが巻き起こっています。
「桜を見る会」は本来、各界で「功績・功労」のあった人を慰労し親睦を深めるのが目的とされ、従来1万人程度の参加でした。しかし、第2次安倍政権(2012年)以降、参加者は年々増え続け、今年は1万8200人に。費用も1765万円から5519万円に膨らみました。
「桜を見る会」は参加費無料で、お酒や食事なども提供されます。また、首相夫妻が参加し開かれる「前夜祭」をめぐって、首相の政治団体の収支報告書に記録がありませんでした。公職選挙法で禁止された寄付行為、また政治資金規正法違反の疑いが指摘されています。
野党側は追及チームを結成し、首相が出席する衆参予算委員会で徹底審議を強める構えです。安倍首相は、急きょ「桜を見る会」の来年度の中止を表明し、火消しに躍起になっていますが、辞任した閣僚2人も同様の不祥事であり、あいまいな決着は許されません。
安倍首相による政治の私物化は今に始まったことではありません。首相に近しい者が特別の便宜を受けた森友(16年)・加計(17年)問題についても疑惑解明に背を向け、頬かむりを続けてきました。
安倍首相は20年を目標に9条改憲を強引に推し進めています。公務員は憲法99条で憲法尊重擁護義務を課されており、改憲をあおること自体が憲法違反です。安倍首相に憲法まで私物化させてはなりません。
安倍政権が憲法も国会も踏みにじる強権と政治の私物化を続けていることが、行政機関や高級官僚の国会軽視など、おごりと政権担当能力が問われる事態を生んでいます。
国民が主人公の政治の実現へ市民と野党が力を合わせ、今こそ安倍政権の退陣を求めていく時です。