全国商工新聞 第3386号2019年11月18日付
いま、国保料・税や社会保険料、税金などの納付相談が増えています。背景にあるのが、売り上げの減少や仕入れ・経費の増加です。問題は、消費税率の引き上げ前から、こうした事態が広がっていることです。
10月31日、中小商工業研究所が発表した今年下期(9月)の営業動向調査結果によると、売り上げのDI(「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した割合を差し引いた値)が8ポイント悪化する一方で、仕入れ値DIが1.6ポイント上昇し、利益DIが5.1ポイント悪化しています。
そこに、消費税10%への増税強行と相次ぐ大規模災害が追い打ちをかけているのです。
それだけに、国保料や税金が納められないという実態の背景にある切実な資金繰りの要求に応え、経営改善に導く相談活動が待たれています。同時に、強力な資金繰り支援を促す金融機関や信用保証協会への要請をはじめ、自治体に対する融資制度改善の提案も重要です。
信用保証協会の保証承諾件数は2014年度から18年度の5年間で8万件減り、保証債務残高は27.7兆円から21兆円へと6兆円以上減少しています。
一方、同じ時期に日本政策金融公庫・国民生活事業の融資残高は252億円増えており、制度融資を担う自治体と保証協会のさらなる役割発揮が求められています。
被災業者への融資制度では、返済期間を10年以上とし、事業の復旧まで返済を据え置くなど思い切った改善が必要です。
消費税・キャッシュレス決済による運転資金不足も大きな悩みです。東京都世田谷区は消費税率引き上げ・軽減税率導入、年末、年度末に必要となる資金を最大300万円まで年利0.3%であっせんし、他の融資と併用できる「緊急特別融資」を実施しました。中小業者が直面する苦難と要求に寄り添う制度を広げる必要があります。
中小業者を取り巻く状況は深刻です。
政府は消費税増税や災害による影響を念頭に資金繰りの円滑化を図るよう金融機関に要請しています。年末を前に、困難を打開する積極的な資金繰り相談と金融機関への要請を強めるときです。