全国商工新聞 第3382号2019年10月21日付
10月1日、消費税10%への増税、複数税率の強行と同時に社会保障の改悪が行われました。
75歳以上が加入する後期高齢者医療保険制度で、年収80万円以下に適用されている保険料9割軽減を7割軽減に引き下げ、生活保護の給付削減も行われました。政府は年金生活者支援給付金などを支給しますが、消費税の増税と合わせて、経済弱者ほど厳しい影響が出るのは確実です。
安倍首相はさらなる社会保障の削減へ、年金制度や介護保険制度の「改革」を議論する全世代型社会保障検討会議を立ち上げ、議論を始めました。経団連会長、経済同友会など、財界からも委員を選び、年末には中間報告を出す方向です。
厚生年金のパートへの適用拡大や、介護サービス利用時の自己負担の2割、3割負担の対象者拡大、要介護1、2の生活支援サービスを市町村事業へ移行、ケアプラン作成費用の自己負担導入などが検討課題にあがっています。医療分野では後期高齢者の窓口負担を1割から2割へ引き上げ、湿布、鼻炎薬などを保険適用から除外することなどが検討されます。
厚生労働省は先日、全国の公立・公的病院で「再編の検討が必要」として、424の病院名を公表しました。救急でかかれる病院が無くなるなど地域医療に与える影響が大きく、衝撃が走りました。医療費の抑制一辺倒の発表に、知事らからも批判が相次いでいます。
安倍政権は高齢化などで自然増する社会保障費をこの7年間で4兆円を超えて削減してきました。一方、来年度の概算要求で軍事費は5兆3223億円と6年連続で増加、過去最大です。アメリカからの「兵器爆買い」は最大の無駄遣いです。
全商連婦人部協議会の業者婦人実態調査(中間集計)では「国保料・税の支払いに窮している」が約3割に上ります。全国知事会は国保財政への公費1兆円投入を要望していますが、高すぎる国保料・税の軽減は急務です。
消費税は社会保障のために使われていません。消費税増税を直ちに中止し、緊急に5%へ引き下げ、社会保障充実を求める運動が急がれます。