2020年度予算 省庁が概算要求
暮らし重視へ転換求めて運動を

全国商工新聞 第3378号2019年9月23日付

 2020年度政府予算案の編成に向けた、各省庁の概算要求が公表されました。総額は過去最大の約105兆円で6年連続で100兆円を上回っています。
 際立っているのは軍事費です。防衛省は、5兆3223億円を計上。海上自衛隊の護衛艦「いずも」の空母化やF35B戦闘機を取得する経費を盛り込みました。他国領土への攻撃を可能にする兵器を導入することは、憲法から見ても重大な問題です。
 第2次安倍政権発足後の13年度から、軍事費は伸び続け、過去最大を更新してきました。今回も、国民の暮らしに関わる予算を削減しながら、大軍拡路線を強行しようとしています。
 見過ごせないのは、6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2019」です。これまでも後期高齢者医療制度の窓口負担を増やし、介護保険の軽度者の生活援助サービスの在り方の検討を打ち出しており、社会保障費圧縮の方針を継続しようとしています。
 11日に発足した第4次安倍改造内閣は、早速、社会保障改革の新会議を設置し、官邸主導で医療、介護、年金などすべての分野での制度改悪の論議を本格化させようとしています。
 安倍政権はあくまで、消費税の増税を強行し、国民にさらなる負担を押し付けようとしています。景気の悪化とともに、複数税率が小規模事業者の実務負担を増大させます。景気対策と称して、巨費を投じるよりも、政治の判断で増税を中止するべきです。
 今後、財務省などの査定や折衝を通じて、米軍再編関係経費や消費税増税への経済対策など、現時点では金額が示されていない予算が追加されれば、総額がさらに膨らむことになります。
 予算編成には「税の集め方と使い道」が示されます。歳入においては、生活費非課税と応能負担を税制度全般に貫くべきです。歳出でいえば、軍事費を削り、暮らし、福祉、教育を充実させるとともに、所得を再分配し、格差と貧困の是正こそ求められます。
 安倍政権の亡国予算を撤回させるため、市民と野党の共闘を力に、世論と運動を広げましょう。

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