全国商工新聞 第3376号2019年9月9日付
8月25日、安倍首相とトランプ米大統領は日米首脳会談で、日米貿易協定を大筋合意したと報じられました。アメリカで余剰とされるトウモロコシ250万トンを輸入するとの報道もありますが、詳細は不明で、9月下旬に最終合意することが決まったとされています。
参院選前にもトランプ大統領は、「8月下旬には、両国にとって良いプレゼントの発表ができる」と言っていましたが、日本政府はいまだに、その内容を国民の前に明らかにしていません。
すでに多くの新聞や報道が指摘しているように、大筋合意された貿易協定は、トウモロコシだけでなく、牛肉・豚肉など農産物の関税のTPP水準までの引き下げ、自動車以外の幅広い工業製品の関税を減免、さらには電子商取引などを含む合意とされています。
協定の内容が、中小業者の営業と生活に大きく関わってくることは明らかです。調印前に、国民にその内容を明らかにすることが政府の責任です。
同様に、10月1日からの消費税増税実施についても、選挙後の世論調査で「反対」が多数となっています。10%ストップ!ネットなどが8月1日、緊急に取り組んだ政党要請でも、多くの野党議員が、消費税増税の是非を国会できちんと審議する必要性を表明しており、国会を早急に開催し、議論することが求められます。
増税と同時に実施される複数税率、4年後のインボイス制度導入についても、いまだ多くの事業者が、「制度そのものについてよくわからない」と答え、中には「もう廃業するしかない」との声が全国で広がっています。
日米貿易協定問題や消費税増税、さらには輸出優遇国からの韓国除外や年金制度の問題など、政治・経済、国民の暮らしに関わる問題が山積しています。
国民は、安倍首相への白紙委任をしていません。今すぐに、国権の最高機関である国会での審議が必要です。安倍政権は、10月初旬に国会を開催するとしていますが、国会閉会中でも予算委員会などの開催・審議は可能です。直ちに国会を開会して、審議を行えの声を、大きく広げましょう。