全国商工新聞 第3375号2019年9月2日付
9月1日は「防災の日」です。今年は戦後最大規模の被害が出た1959年の伊勢湾台風から60周年を迎えます。
5000人を超える死者・行方不明者を出した大災害に、民商・全商連が組織を挙げて全国から救援物資を送り、国税庁・税務署に対して税の減免を要請する姿などが、当時の商工新聞に掲載されています。
地震の発生が多く、台風の通り道であり、気候変動による異常気象も続く日本では、被害を減らす日常の備えが大切です。国の防災対策の抜本的な拡充が求められます。
阪神・淡路大震災以降、被災者生活再建支援法で住宅再建などに活用できる制度もつくられました。東日本大震災以降は中小業者に対して、グループ補助金で営業の再建を支援する仕組みや、一部商店街への復旧支援も行われていますが、十分とは言えないのが現状です。
安倍政権は、国土強靭化計画や自衛隊の派遣を迅速化するなどしてきましたが、被災者を直接支援する制度と仕組みには消極的です。
自衛隊の予算である防衛費は第2次安倍政権以降、増え続け5兆円を超えています。しかし、増えているのは、日本の防衛に不必要なF35ステルス戦闘機やイージス・アショア・ミサイル防衛システムなど米国からの兵器爆買いによるものです。
インフラの整備にも懸念があります。昨年国会で可決された水道法の改正では、命にかかわる水道事業に民間業者が参入できるようになりました。災害時に自治体同士が応急給水を行う仕組みが維持されない可能性があり、迅速な供給体制に不安の声が上がっています。
予算の使い方を抜本的に改め、社会保障の充実、災害対策や被災者支援を充実させることが必要です。
全商連は時々の災害に対し、災害復興への提言を行ってきました。治水対策や公共施設の耐震化、食料、飲料水の備蓄、避難路の安全確保など中小業者が役割を発揮する対策の強化は、地域の安全と雇用を守るためにも重要です。
防災の日を契機に、災害への備えを強め、被災者への支援、復興政策を充実させるよう世論を広げることが求められています。